第9話 期待しない
リリコは家に着きすぐにお風呂場へ急ぐ。
シャワーを浴びながら溢れてくる涙を一緒に流す。
こんなことってあるかしら。
天国から地獄に落ちた気分だわ。
涙を流すだけ流した後、湯船に浸かり、ゆっくりと体を温める。
別に嫌な事をされたわけではない。
勝手に恋心を抱き、2人で会えると期待していた。
期待が裏切られ落ち込んでいるだけだ。
自分で自分に何度も言い聞かせている。
今頃2人は…。
楽しそうに食事をしている姿を想像してしまうリリコ。
湯船の中にも涙がこぼれ落ちた。
こんなに涙って出るものなのね…。
ゆっくり湯舟から上がり、最後にシャワーで綺麗に涙を流す。
夕食を済ませ横になった時であった。
頭がまた温かくなってきた。
眉間のところまでゆっくりと包みこんでくる。
この感覚…。
とその時また女性が現れた。
『大丈夫だから』
『人生を楽しんで』
女性は優しい表情をしてにっこり笑い言葉を残しまた消えていった。
『なんなのよ。
大丈夫って。
大丈夫じゃないわよ。
こういう時に楽しめないわよ。』
消えた女性に向かって言葉を放つリリコ。
そんなリリコを優しく包み込みように、お花の香りが漂い始めた。
不思議な現象に戸惑うリリコであったが、香りに癒され眠りについた。
部屋にはなかなかきれいに咲かないラナンキュラスの蕾が飾ってある。
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