第8話 3人で!?
15分前…早かったかしら。
少し早く着いたリリコは映画館の入り口でポスターを眺めながら
コウタを待つ。
なんて聞けばいいのかしら。
彼女とかいます?
リリコの頭にはずっと女性と歩いていたコウタの姿が浮かんでいた。
『こんにちは』
聞いたことのある優しい声が後ろから耳に響く。
きた…。
心の波が揺れ始める。
コウタの優しい声。
ゆっくり振り返った。
え?
振り返った瞬間言葉がでなくなる。
コウタの隣にはデパートで一緒に歩いていた若い女性がいたのだ。
『すみません~こいつも一緒にきたいとうるさくて。』
こうたは頭を下げながら隣にいる女性を紹介する。
『職場の後輩のサキです。』
コウタの横に寄り添い立っている。
『こんにちは。』
サキは嬉しそうに挨拶をしてくる。
リリコはその時すでに帰りたい気持ちでいっぱいだった。
3人で飲み物を買い3人でゆっくりと席に着く。
『コウタ先輩~なんか楽しみですね~。』
甘えたサキの声が耳に入ってくる。
なんなのよこれ。
心の叫びは止まらない。
激しい波がずっと揺れている。
映画の内容など全く入ってこないリリコ。
心の波を落ち着かせようとしているうちにエンドロールが流れてきた。
その後食事にと誘われたリリコであったが断り家に帰ることにした。
大粒の雨が降っている。
傘で顔を隠し颯爽と歩いているが目には涙があふれていた。
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