第7話 葛藤

ピピピピピ ピピピピピ


目覚まし時計がずっとなっているのにリリコの目は開かない。


5分経ったぐらいだろうか。


ゆっくり重たい体を起こしゆっくり歯を磨き始める。


鏡で自分の顔を見てびっくりする。


仕事で疲れている時の表情と一緒である。


素敵な出会いだと思ったのに。


その彼が女性と楽しそうに歩いていた。


見なくていいものを見てしまったリリコ。


今までとは違う感情も現れてくる。


自分よりもその女性が若いということに反応しているのか。


その女性のコウタに対する目に反応しているのか。


2人が楽しそうに歩いている姿が何度も蘇ってきた。


なんか映画行きたくないわ。


心の声が鮮明に聞こえてきた。


食事を済ませ食器を洗うリリコ。


断ろうかしら。


携帯を手にとり溜息をつく。


映画を一緒に見るだけじゃないの。


映画友達よ。


手に持った携帯をまたテーブルに置く。


リリコの心はずっと揺れ動いていた。


買い物にでも行こうかしら。


と気分を変えようとしたその時だった。


ピ!


携帯がなりラインを開くと相手はコウタだった。


『何時ぐらいに待ち合わせします?』


コウタのメールにはニコニコ顔のスタンプが一緒に送られてきた。


どうしよう…。


行きたいような行きたくないような…。


しかしあの女性は誰かしら…。


雰囲気的に彼女じゃないの?


本人に聞いてみる?


よし、会って聞いてみよう!


揺れ動く心を感じながらもリリコは映画に行くことにした。


モヤモヤする心をスッキリさせたいのか。


楽しかった時間が恋しいのか。


『15時に。映画館の入り口で。』


心とは真逆のニコニコ顔のスタンプを送り返す。











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