第2話 チョコレートケーキ
ピピピピピ…
いつもは目覚めの悪いリリコも目覚ましの音がなった瞬間目を開けた。
夢をみてたのかしら。
歯磨きをしながら女性に言われた言葉が蘇ってきた。
『人生を楽しんで』
私の人生…。
鏡に映る自分の顔が妙にくすんで見えた。
いつもと同じ道を歩き、
いつもと同じ駅につき、
いつもと同じ窓から見える景色を眺めながらリリコは自分の人生を振り返り始めた。
小さい頃から怒られる事が嫌でやることはそれなりにしてきた方だ。
その中でも高校時代はちょっといたずら的な事をしたり楽しかった。
高校時代の楽しかった思い出が頭に浮かび一人でクスッと笑みを浮かべる。
『どうしよう…こんな点数…』
中間テストが返ってきてリリコはゾッとした。
地理の点数が6点だったのだ。
『アケミ~私すごい点数とってしまった』
斜め後ろに座っている友達のアケミに報告する。
『リリコ~私もやばい!』
アケミの点数もリリコとあまり変わらず9点だったのだ。
5分程2人は落ち込み落胆するがそこから笑いも込み上げてきた。
『こんな点数滅多にとることないじゃない!記念に交換しよう!』
2人は自分の答案用紙に一言添えて記念に交換した。
アケミの性格は明るくて楽観的だ。
リリコはアケミといると楽しくてたくさん笑った。
『ちょっとそこの2人職員室にこの後きなさい』
先生に呼ばれ厳しく指導を受ける2人。
『次のテストでこんな点数とったら進級も厳しくなるからわかってる?』
『わかります。次は頑張ります~。』
その日の帰宅途中2人は反省の気持ちもあるけど記念日のお祝いをしたくなった。
『チョコレートケーキ買おう!』
アケミの行動力もリリコは大好きだった。
『こんな時にケーキでお祝いできるアケミ最高~。』
思い出が蘇っているうちにリリコは会社に着いた。
ピクピクピク。
心が小さく波を打ち始めていた。
その日仕事を終えチョコレートケーキを買いに行くことにした。
会社の近くにある可愛いケーキ屋さん。
綺麗なケーキが並んでいる。
『チョコレートケーキを』
リリコの顔からはくすみが取れスッキリとした笑みを浮かべていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます