固い蕾

@miminekosaku

第1話 なんなの?

部屋には数日前に買ってきたラナンキュラスの蕾が飾ってある。


リリコは布団に倒れ込んだ。


一日あった出来事が脳裏をよぎる。


なんであんなミスをしてしまったんだろう。


その日リリコは仕事でミスをしてしまったのだ。


繊細で一度トラブルがあると頭を抱えるタイプの人間だ。


帰宅してからも気持ちが落ち込んでいた。


悩んでも仕方ない。


わかっているのだが頭からはその日あった出来事が離れないでいた。


このままでは寝れないわ。


気分を変えようと音楽を聴き始める。


こういう日は激しめの曲がいいわね。


いつもより音量も高めでノリノリの曲を流し体も一緒に動かし始めた。


30分程過ぎた頃だろうか。。。


気配を感じる。


そっと後ろを振り返ったが誰もいない。


リリコは気のせいか・・・と今度はお笑い番組を見始めた。


笑っていると気分が楽になってくる。


一人暮らしの部屋に笑い声が響く。


リリコの笑い声が消えたその時だった。


ん?


やっぱり何かいない?


やっぱり気配を感じる。


怖がりのリリコはテレビの音量を少し上げ気を紛らわしていた。


今日は疲れてるのね、私。


ふと心の声が聞こえテレビを消し布団に入り横になる。


ゆっくり目を閉じ眠りにつくことにした。


すると頭から温かいものが流れてきた。


じわ~と眉間のあたりまで温かさが包んでくる。


なんなの?


怖くも感じたけれどその温かさが心地良く両手を伸ばし瞑想の状態に入り始めた。


心地よくなってきたその時だった。


『大丈夫だから』


え!


なんなの?


リリコの耳にははっきり言葉が聞こえた。


毛布を蹴飛ばし布団から飛び出て振り返った。


そこには女性が立っていた。


『人生楽しんで』


その女性は優しい表情をしてにっこり笑うと消えていった。


なんなの?今のはなんなの?


不思議な現象に戸惑ったリリコだがそのまま横になり眠りにつくことにした。


本当に今日は疲れているのね。


ゆっくりと目を閉じる。


大丈夫だから。


女性に言われた言葉が頭の中で何度も繰り返される。


繰り返されているうちに体がじんわりと温かくなっていく。


気づいたら心地がいい状態のまま朝を迎えていたリリコであった。











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