第7話めぐみ、ご乱心

ぺちぺち、頬を叩かれ、正樹は目覚めた。

動物園疲れと、飲み疲れでつい寝てしまった。腕時計は、00:24を表示していた。

ヒロキはまだ、爆睡している。

「ねぇ、キャプテン、私を1時間も放置プレイしてどうすんの?」

めぐみは、泥酔しているようだ。

「わ、悪い。ちょっと睡魔に襲われて……」

「で、私にも襲われて……ギャッハッハッハッ」

「光一、壊れたのか?」

「ノンノン、光一じゃない、めぐみよ。ヒロちゃん、起こしてよ!私んちで飲み直しだからね」

正樹はヒロキを叩き起こした。

「何だってまぁ~、気持ち良く寝てたのに!」

「ヒロ君、キャプテン、私の秘密を知りたいんじゃないの?」

「そうだった、めぐみは向こうで何があったんだい?」

「僕も聞きたい、どうしたの?」


正樹とヒロキは興味津々な様子。

「それは、私んちで」

「オレ、いずみに朝までには帰るってLINE送ったから大丈夫だよ、四次会は。ヒロちゃんは?」

「僕も大丈夫」

「なら、決まりね。四次会は大五郎よ!」

「そんなん、昔の大学生の飲みもんじゃん。貧乏臭い」

めぐみは、突然2人の前でTシャツを捲り、ミルクタンクを見せた。そして、下のズボンを脱ごうとしたとき、正樹とヒロキは慌てて制止した。

めぐみは、脱ぎ魔だったのだ。

「めぐみちゃん、とにかく店を出よう」

めぐみは微笑みを浮かべていた。

正樹は、お勘定の伝票を探した。そして、店員に伝票の事を尋ねたら、既にお会計済みだった。

それに気付いた正樹は、めぐみの不適な微笑みの意味を知った。


タクシーを捕まえ、めぐみのアパートに向かった。

めぐみは玄関の扉を開き、

「二名様ごあんな~い」

と、言った。でき上がってるなコイツ。

正樹は無言で部屋に上がる。

ヒロキは、お邪魔しますと言った。

2人がテーブルに向かって座ると、めぐみは柿の種と、大五郎を準備して、テーブルにグラスを3つ置いた。

「ねぇ、めぐみ。割るモノは?」

「無しっ!」

「せめて、氷は?」

「無しっ!」

正樹とヒロキにとっては、拷問に近い。

今回の乾杯の音頭は、めぐみだった。

「友情に乾杯!」

「何が、友情だ?22年も帰って来なかったくせに!」

「キャプテン、許してやろうよ!」

「2人とも、ごめんなさい。色んな事情があって」

めぐみはグラスに目を落とした。

「な、キャプテン許してやろうよ!」

「ま、まあ、話をきいてやるから、めぐみごめんよ」

「な~んちゃって!暑い、脱がせてよっ!」

正樹とヒロキは顔を見合わせた。

「ま、まあ、めぐみのうちだもんな。好きにすれば~」

めぐみは上半身、裸になった。

「な、なんてふくよかな乳じゃ」

ヒロキはめぐみのミルクタンクに手を伸ばしたが、彼女にペチッと手の甲を叩かれた。

3人はもう、会話の辻つまが合わなくなり、全員酔い潰れた。

そして、朝を迎えた。


「キャー」


と、めぐみの叫び声で正樹とヒロキは飛び起きた。

「どうした?めぐみ?」

「わ、私の服脱がしたの誰?変態野郎はどっちだ!」

正樹はヒロキの顔見た。

「お前だ!」

「お前だ!」

と、2人してめぐみを指差した。

そこで、解散になった。帰り道、

「正樹君、光一に否、めぐみに何があったんだろうね?」

「さぁな?」

結局、一日で謎は解けなかった。時間は10時。

いずみに説教されそうな気がした。



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