第3話子供の日は大人の日

正樹は息子の起きろコールで目覚めた。

「パパ起きて~」

「後、5分」

「ママが起こってるよ!」

正樹は「ママ」の言葉に反応し、タオルケットから脱出した。

「いずみ、おはよう」

妻のいずみは、今日のお弁当を作っていた。

「まー君、こっちは朝早くから、お弁当作ってるのに、何時だと思ってんの?子供の日だよ!パパが健太の相手しないで、どうすんの?」

いずみは、チクリと言い放つ。

「パパ、またママにしかられた」

「何だと~、カンチョーしてやろうか~」

「うわ~、パパやめて~」

健太は逃げ回る。

「2人とも何やってんの?」

「え、カンチョーごっこ」

「まー君バカなの?早く歯を磨いて2人とも、着替えなさい」

いずみはおにぎりを握っていた。


ようやく、準備して動物園に向かった時間は10時過ぎだった。

開園に40分遅れで動物園に到着した。

健太の好きな動物は象なので、真っ先にアフリカ象の場所に向かった。

健太は象に夢中だ。

「パパ、あのぶらさがってるの何?」

「あれは、象さんのチンチンだ!」

「へぇ~」

腕時計を見ると、11時40分を表示していた。


「ママ、お腹すいた」

「オレも腹減った!」

3人でテーブルがある場所に向かった。ベンチでサンドウィッチ食べている家族もいた。

持参した弁当箱には、玉子焼き、唐揚げ、タコさんウィンナー、おにぎりがぎっしり詰めてあった。

「ママ、唐揚げ美味しい」

「ほんと?健太。たくさん食べてね」

「いずみ、この唐揚げ味が染みてる。ビール買って来ていいかな~」

「唐揚げは、タレを絡めて一晩寝かせたの。ビール?まー君運転手なんだから飲んじゃダメ。あたしは、混んだ道走るの嫌だからね。それに、あんた、ヒロキ君と今夜飲むんでしょ?子供の日なのに!」

正樹はおにぎりを頬張り、

「子供の日は大人の日でもある」

「何それ?ヒロキ君とは普段も飲んでるのに」

「光一がこっちに帰ってくるんだよ。で、ヒロちゃんに懇願されて、一緒に飲むんだ」

いずみは、ペットボトルのお茶を飲んで、

「あの光一君?弓道部の?謎が多い男子だったよね?」

「うん、アイツは何考えてんだか分からん男だった。3人の友情を捨て、22年間オレ達を無視した男と飲むのは辛いなぁ~」

「きっと、光一君に何かあったんだよ。今夜、きちんと話し聴いてあげて。光一君は仲間でしょ?」

「うん、タバコ吸ってくる」

正樹は喫煙所に向かった。

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