第5話
若い時には感じない体の変化がある。いや、産まれる前からずっと体は変化をし続けてるのか。成長と退化という言葉が合うのかもしれないが、きっと進化をし続けているのだと思う。その年齢に適した、もしくは生活に適応した体へ、進化しているのだ。
毎月体のメンテナンスとして整体に行っているのだが、体ってすごいなぁ、と感心するようなことが時々ある。
『肩が前に巻き込んでて、左肩が下がって、右肩が上がって腰がこっちに回ってますね』と、整体師さんの“こんな感じ”という姿を見てピンときた。
『それ、職場で荷物を運ぶ格好です!』
夏ごろから月に数回しか行かない職場なのだが、慣れない環境で体に力が入っていたのだろう。落とせない緊張感とぶつからないように気をつけて運んでいたからそんな格好になっていたのだ。その後整体師さんと次からはこんな感じで運ぼうと思うなど、解決策を出したのでまた次回の整体が楽しみである。
整体に行くようになってどれくらい経つだろう。産後の整体を友人から教えてもらい、その時に知り合った整体師さんなのでかれこれ10年以上の付き合いである。誰の産後だったっけ?長男の産後からか?なら15年か。
京都から来られていたので場所も点々とし、途中行かなくなったりしつつ、見つけたら行くようにしていた。そしてここ数年、体のメンテナンスとして毎月通っている。特に体に不調があるわけではない。なので整体師さんに『大概の方はあそこが痛い、ここが痛いとおっしゃるので、どこをどうしようって先入観があるんですけど、それがないのでフラットな状態でできるのは楽しいです』と言われた。その言葉に甘えて毎回必要最低限のことだけを伝えてやってもらっている。
ある時施術終わって『今はまだ解放されてないんだけど、蛹から蝶が飛び立つ前のような感じ』と言われた時は思わず『まさにそれ‼︎』と叫んだこともあった。職場を辞めてさーどうしよう?と思っていたところだったので、まさにそのイメージを持っていた。
その整体師さんに家に来てもらった時に、長男が玄関で『こんにちは』と挨拶を交わした。その後『素直でいい体してますね』って言われてびっくりしたことがある。見ただけでわかるんだ!と。そういえば産後整体の時に走り回っていた長男(多分1、2歳)の体を整体師さんのお師匠さんが見ただけで『大丈夫』って言ってもらったことがある。ほんとに?と何度か質問したらぶつかりかけた息子を『おっと危ない』とささっと触って本当に大丈夫と念を押されたことがあった。なるほど、整体師とは体も触るが、見るだけでわかるものなんだなぁと感心したこともあった。
そんな整体師さんによく『また進化をされるんですね』と言われる。なんのことかわからなかったが今ならなんとなくわかる気がした。意識せずそのまま生きるのもありだと思うが、意識して変えようと思うのもありだな、と。環境に適応するのも進化だが、変えようとするのも進化だ。私は後者を選択する。人生は実験である。体も心も徐々に適応していくものなのだから、私は自分で意思を持って自分なりの『進化』を獲得しようと思う。今までは心を主に進化させていたが、歳を取ると自然と体に意識が行く。それは痛さだったり、不調という形で現れるが、現れるからこそ進化させるチャンスなのだと思う。
今も絶賛実験中。実験は変化が楽しいのだ。今までずっと厳しかった体重計が少し優しくなった。不調こそチャンス。また今日も進化させるぞ!と思いながら朝ごはんを食べる。
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