第9話 日々
『冬期うつ』という言葉がある。そのせいなのだろうか、寒くなってきてからすこぶる調子が悪い。楽しいと思うことや嬉しいと感じることはあるが、それらはちょっとしたことで消えてしまう。全て死にたい、消えたいという感情に塗り替えられてしまう。
今日も何となく死にたいし消えたい。どうしてそう思ってしまうのだろうか。優しい夫がいて、昼過ぎまで眠ることができて、専業主婦でも贅沢をしなければ暮らしていける。そんな恵まれた環境に私はいる。それでもその幸せを感じて、受け止めることが上手くできない。
夫と少しコミュニケーションの行き違いがあった。スーパーで何か買い忘れた。トイレ掃除をさぼったら黄ばみが出た。そんな小さなことで私は絶望の淵に佇むことになる。自力での戻り方はわからない。もうただ、死にたいと辛いと消えたいを心の中で繰り返すしかできない。そんなことをしていると不意に普通の場所に戻ることができたりする。できない時はただひたすら夫の帰りを待つしかない。
楽しい毎日。幸せな暮らし。それらは一体何なのだろうか。結局気の持ちようだったり受け止め方によるものでしかないのではなかろうか。しかしそれだと私は一生辛く苦しい思いを抱えて生きなければならない。
私は自分自身を悪だと思う。性格が良くないのもあるがそれ以上に上記のようにねじ曲がった感受性を持ち合わせている。一般的な幸せよりも悲しみや辛さを優先してしまう。辛い日々を過ごしたいわけではないのだ。幸せだけを感じていたいのに。幸せを幸せとして感じて、それを心の中心に置いて色んな辛さや悲しみから自分を守っていたい。少しのことでは揺るがない自分でいたい。
私の感受性がねじ曲がっているのは病気のせいではない。元からだ。実家での私は癇癪持ちだった。学校や会社では死にたいとばかり思っていた。生きることに不向きなのだ。
薬を飲んで、カウンセリングを受けていればいつかはもう少し生きやすくなるのだろうか。考え方は少しだけ軟化したとは思う。しかし、まだまだだ。
今いる自分の場所で幸せを幸せとして感じたい。喜びも嬉しさも同様だ。楽しい出来事を楽しい出来事として捉えたい。現状の自分では不幸なままだ。幸せになりたい。満ち足りた日々を過ごしたい。心からそう願う。
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