第3話 リセット癖
私にはリセット癖がある。具体的には不定期でSNSを消して連絡を絶つのだ。初めてやったのは、中学生の時に始めたブログだろうか。やたらとブログを作っては消し作っては消しというのを繰り返していた。その後はミクシィ、Twitter、LINEと大手SNSは一通り作っては消しを行っている。
私にとって1番やりがいがあるのはLINEを消すことだ。現代ではこのアカウントを消すと大抵の人と連絡が取れなくなる。そのためリセット度合いはかなり高い。
なぜこんなことを繰り返してしまうのか。それはSNSで繋がっていく人が増えれば増えるほど息苦しさを感じてしまうからだ。私は人と関わり合うことで自分という存在が明確になると考えている。LINEの友だちが増えることで自分がかたどられていく。しかし、自分という存在を私は好きではない。勉強も運動もできないし、見た目も性格も良くない。愚痴をこぼすことしかできないそんな存在が明確になってしまうことは苦痛だった。今思えば一種の自傷行為だろう。ストレスが一定以上溜まるともうアカウントを消したくて消したくてしょうがなくなる。過去消した中で覚えているのは大学4年生の年末と休職に入る数ヶ月前だ。幸いそれ以降はLINEを消したいとは思っていない。夫には最近言わないねと褒められた。休職・退職以降人間関係の広がりようがないおかげだと思う。今連絡を取れるのは私の度重なるリセット癖にも負けず私と仲良くしてくれる精鋭部隊のような存在だ。感謝しかない。
記憶に残っているのはたった2回かと少なく思われるかもしれないが、それはLINEがここまで普及したのが大学生の途中からだったからだ。自分がもっと遅く生まれていたら大変なことになっていただろう。
そんなに各種SNSを消すならやらなければ良いと思われるだろう。その通りである。しかし、それでもまたやってしまうのだ。今度こそ消さずに済む人間になりたいと思ってアカウントを作ってしまうのだ。
あともうひとつ、リセット癖と思われることがある。それは髪だ。私は髪をどんどん短くしてしまうきらいがある。今は頻繁に美容院に通うことの方が難しいためのばしているというかのびている。しかし働いていた時はどんどんと短くなっていた。休職前は結婚式が控えていたため我慢していた。きっとあれもストレスだったのだろう。結婚式が終わったらすぐにベリーショートにした。
私は実際に手首を切ったことがない。刃物を当ててみたことはある。しかし傷つける勇気はなかった。
指を突っ込んで吐くこともできなかった。チキンなのである。故に今こうしてのうのうと生きていられるというか生きてしまっているのだ。
そんな私ができた自傷行為もどきが上記のようなリセットなのだ。もしかしたらこの行為があったからこそ物理的な痛みや苦しみを伴う行為をせずに済んだのかもしれない。実際のところはわからない。ただ、思うのはもっと早く心療内科に行っていれば良かったなということである。心療内科も万能ではない。私は2年通っているが未だに労働はできずにいる。それでももっと早く通っていればこんな状態にならなかったのではなかろうかと思う。今更後悔しても遅いので、地道に通院を続けるしかないのだが。リセット癖が落ち着いていることを良しとして生きていくしかないのだ。
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