気が触れて、我に返って、また気に触れる2
「みのりのヤツ……また絡まれてるのかよ」
すぐ傍からした声、その主は新藤だ。真剣な面持ちで緑川達がいる方を見据えている。
「随分と早いな。ちゃんと手を洗ったんか?」
「洗ったに決まってるだろ! ったく、冗談言ってる場合じゃないぜ〝奏多〟」
「悪い悪い………………て、あれ?」
いつもの新藤に戻ってる。体内の毒素を放出してスッキリしたからだろうか? …………わからん、わからんがまあとりあえず、正常な状態に戻ってくれって良かった。
事故に遭って生死の境をさまよっていた友人が無事、意識を取り戻してくれたかのような心境。感極まった俺は新藤の肩に手を置き、微笑みながら2、3回頷く。
すると、なにがなんだかさっぱりだといった様子の新藤から、困惑したような声が返ってくる。
「え、なにそれ? 新しいボケ?」
「理解できないならそれでいい。むしろそっちの方がいい…………俺も、忘れるからさ」
「……頭おかしくなったのか? 奏多」
「そうだな。おかしかったのは俺の方だったかもな」
確実におかしかったのは新藤の方だったけども、言ったりはしない。どういうわけか気が触れていた時の記憶がない様子。それならそれでいいじゃないか。知らないことが幸せ、まさしくその通りである。
うんうんと赤べこみたく首を縦に振る。否定はしない、全肯定マシーンとなった俺に、新藤は呆れ顔で息を漏らす。
「ったく、ふざけてられる状況じゃねーだろ…………俺、ちょっと止めに行ってくるわ」
「止めにって……まさか、あの場に?」
「それしかねーだろ」
即答した新藤は迷いない足取りで緑川達の元へ向かって行く。
その背中が幼かった頃に見た父の後ろ姿に重なる。
『いいか、奏多……男には、勝負しなきゃならない時があるんだよ。今のお父さんがまさにそれだ』
休日の10時前、家を出て行くお父さんの背は偉大だった。後になってパチンコに行ってただけと本人が笑いながら言っていたが、当時の俺の目にはラスボスを倒しに向かう勇者だったのだ。
そんな在りし日のお父さんと同じオーラを纏う新藤はさながら白馬乗って颯爽と駆けつける王子様。瞬く間にいじめっ子A・B・Cを撃退し、見事シンデレラガールこと緑川を救ってみせたのだ。
ブツブツと文句を垂れながらこっちに向かってくるいじめっ子A・B・Cが、俺の存在を認めるなり急に黙った。
横を通り過ぎる瞬間、なんだコイツみたいな視線を向けられ、何故か俺はペコペコと頭を下げてしまった。
するつもりはなかったのに勝手に動いてしまった……後輩の女子達が俺よりも格上と無意識に本能的に察知したからだろうか? どちらにせよ、情けない。
比べて新藤はどうだ……まるで主人公じゃないか。
新藤(狂乱モード)は俺をラブコメ主人公と何度も口にしていただけに、傍観しかしていなかった自分が余計に情けなくなる。
……ったく、俺の方がよっぽどモブだっての。
自分を情けなく思うが、不思議と嫌な気分ではなかった。いつもはチャラけているが締めるところはちゃんと締める。ライバル心なんて少年漫画みたいなものはなかったけれど、コイツには敵わないだろうなって素直に認められる数少ない俺の友人、それが新藤だ。
誇らしい、友人であることが誇らしい。だから、マイナスな感情が入り込める余地はなかった。
新藤……俺はお前と友達でいられることがなによりもの自慢だよ。
なんてしみじみ思いながら俺は二人に視線を戻す。
「――ちょっと達也! 余計なことしないでよ!」
「なんだよその言い方。せっかく助けてやったのによ」
「それが余計だって――〝前〟も言ったじゃん!」
腐れ縁のような関係だが、今回の件でラブコメに発展する可能性も大いにあった。むしろ俺はそうなるのを期待していたのだが……実際は甘酸っぱい空気など微塵もなく……何故か、険悪な空気が漂っていた。
――――――――――――。
どうも、深谷花びら大回転です。
ごめんなさい。実はわたくし、こそこそと水増ししています。噓だにまみれた回、噓だしかないのをいいことに、嘘だをコピーアンドペーストしまくってました。すみません。
――だって! もうカクヨムコン間に合いそうにないんだもん! どう頑張ったってわたくしの集中力じゃ間に合わないんだもん!
……ええ、ええ。わかってますとも。そんな小細工して突破できるほど甘くはねーよと。そうですよね、理解はしています。(正論ぶつけてきてんじゃねーぞ? おん? 潰されてーのか? あん?)
でも! とりあえずは条件を満たして淡い期待を抱きたいじゃないですか!(ただでさえ生きてる意味がわかんねーんだから、それぐらい許してくれるよな? というか許せ)
だから止めない。わたくしは止めない。なんならこの後書きでも増しに増してやる勢い(止まるんじゃねーぞ)
故に今からする発狂は狂った振りをした打算であるのを理解した上で聞いてください。
アナルフ〇ックうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう
よし、こんだけやっときゃ間に合うだろ(止まるんじゃねーぞ)
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