集いし3人のご契約者はそれぞれの個性をぶつけあう2

緑「…………ま、まあ? お二方には永遠にわからない問題でしょうからぁ? 答えを導けるはずもないんですけどねぇ。後輩の分際で意地悪しちゃってごめんなさいです♡ センパイ方♡」


羽「あらそう。なら案外、小鳥遊さんのトンチンカンな答えが正解に近かったのかもね――ほら小鳥遊さん、あなたの番よ。思い付く限りを口にしなさい。どうせ碌でもない答えなんだから、どれかしら当たるでしょ」


小「そう? じゃ、じゃあ、お賽銭さいせん箱から零れた小銭を拾いに来たとか――じゃなあああいッ! さっきからあたしのこと馬鹿にしすぎよッ! あたし、羽崎さんになにかしたッ? 怒られるようなことしたッ?」


羽「別になにも?」


小「じゃあなんでそんなに刺々しく当たるのよ!」


羽「存在自体が腹立たしい」


小「そ、存在自体って――もうそれどうすることもできないじゃないッ! ……く、クレープ! クレープ奢るから優しく接しなさいよッ!」


緑「ちょっとちょっとセンパイ方ぁ~、漫才も良いですけどぉ、答える気がないんならもう発表しちゃいますよぉ?」


羽「ええどうぞ」


緑「ふふ~ん……じ、つ、はぁ――これから彼ぴっぴとのデートなんですぅ♡ きゃぴ♡」


羽・小「「……………………」」


緑「あれあれぇ? どうしちゃったんですぅ? 二人とも急に黙り込んじゃってぇ……ウチに彼氏がいるのって、そんなに驚くことですかぁ? 自分で言うのもあれですけどぉ、ウチ、結構モテるんですよぉ。だ、か、らぁ、羽崎センパイが言ってた安い男を引っかけるってのは答えとしてもう論外なんですよぉ。だって、勝手に寄ってくるんですからぁ」


羽「あなたのことなんてどうだっていいわ……それよりも、永遠にわからない問題と決めつけてきた理由を説明して欲しいわね」


小「そ、そうよ! デートなんて、ちょっと考えれば出てきたわよ!」


緑「本当ですかぁ? 失礼かもですけど、羽崎センパイと小鳥遊センパイって男のおの字もないような生活を送ってるわけじゃないですかぁ……そんな二人が果たしてデートって発想に至れましたかねぇ?」


小「そ、それは……」


羽「彼氏がいるように見えなかったから除外した。ただそれだけのことよ」


緑「負け惜しみのようにしか聞こえませんね♪ 二人とも可愛いのにもったいないな~……なにがダメなんでしょうかね? 性格の問題?」


『もうやめて! 羽崎と小鳥遊のライフはゼロよ!』と思わず助け舟を出したくなってしまうほど、緑川は二人に容赦なかった。


 というか、何故に緑川は先輩二人に対してやたら攻撃的なのだろうか? 聞いてる感じ羽崎、小鳥遊とは初対面のようだし……一方的な恨みによるものか?


 俺が想像を働かせている間にも会話は進んでいく。


羽「残念だけどハズレよ、緑川さん。彼氏なら私にもいるの」


緑「ちょ、見栄張って嘘つくのは自分の、首を絞めるだけですよ? 羽崎センパイ」


羽「噓じゃないわ……ふふ、あなただけじゃないの。私だってこれから彼氏と年越しデートなのよ?」


小「あ――あたしだってッ! 二人と同じでデートだしッ!」


緑「……ふ~ん。あ、じゃ~あ、これもなにかの縁ってことでぇ――トリプルデートなんてどうですぅ?」


 ――――え?


羽「嫌よ。私は二人の時間をゆっくり楽しみたいの。あなた達に邪魔されたくない」


小「あたしも羽崎さんに同意」


 よし! よく言った二人とも! そうだよな、やっぱ二人きりの時間って大切だよな! トリプルデートとか論外だよなッ! というかできねーよッ!


緑「まあそう言わざるを得ないですよねぇ……ほんとは彼氏なんていないのに。あ~やだやだ、歳下に嘘ついてまで体裁を保とうとするなんて……呆れを通り越してもはや哀れですよ、センパイ方♡」


羽「安い挑発ね」


小「まったくもって羽崎さんの言う通り。その程度の挑発に乗せられてなるものですか!」


 そうだそうだ! 緑川ッ! お前ちょっと先輩舐めすぎだぞッ! 態度を改めやがれ!


羽「けど、私が見栄を張って噓ついていると認識されるのもしゃく……」


小「そうね、悔しくないと言ったら嘘になる」


羽「いいでしょう。緑川さん――なたの安い挑発に乗ってあげるわ」


 な――なに言ってんだ羽崎ッ⁉ 乗っちゃダメでしょッ! お願いだから降りてッ!


小「ええ! あたしも乗る! ――って、ええッ⁉ 乗っちゃうのッ? お相手の許可なく決めて大丈夫なの羽崎さんッ!」


 いいぞ小鳥遊! 真面なのはもうお前だけだッ! どうにかしてトリプルデートを避けてくれッ!


羽「別に、無理に付き合わなくてもいいわよ? どうせ小鳥遊さんにはいないんでしょうし、彼氏が」


小「――んなッ⁉ あなたまでそんなこと言うのッ! ……わかったわよ、そこまで言われたらもう黙ってられない――――トリプルデートでもなんでもしてやろうじゃないのッ!」


 小鳥遊さああああああああああああああああああああああああんッ!


 残された希望の糸……それは頼みの綱としてはあまりにも細く、そして脆かった。


 断たれてしまった……いとも簡単に。




――――――――――――。

どうも、深谷花びら大回転です。


昨日の後書きが恥ずかしいレベルでスベったので少し自信喪失気味です。

もういいです。読者の皆様が構ってくれないならそれでいいです。

……んふ、土曜に年上の女性と会ってくるんで、その方にめっちゃ構ってもらいますから(気持ち悪ッ)


い、言っておくけど……今更優しくされたって、なにも感じないんだからね!


だから優しくしなくたっていいんだからね! むしろボロクソにしてくれたっていいんだからね!


いや、更に言うならとんでもない辱しめを――――

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