温もりを求める冷たい幽霊と〝性〟なる夜を5
「……………………へ?」
不意打ちと呼ぶに相応しい告白だった。そのせいで俺の口から間抜けな声が零れてしまう。
ハッキリと聞き取れたはずなのに、幻聴だったのでは? と受け入れようとしない自分がいる。
こっちには羽崎に好意を持たれる理由がない。どころか、これまで関りすらなかった……嬉しいよりも先に不信感を抱くのは当たり前じゃないか。
だっつーのに、どうしてか羽崎の瞳がキラキラ輝いているように見えてしまう。普段のなに考えてるかわからん眼とは大違い……これはあれか? 好きなんて打ち明けられたせいで変なフィルターがかかっちゃってるのか?
とにかく、真に受けるのはよろしくない。いくら見た目が可愛いからと言っても羽崎だ、打算的な考えがあっての発言かもしれない……たとえば、
「聞こえなかったの? 私が言ったこと」
「ああいや、ちゃんと聞こえてたけど……その、冗談なのかなと」
「冗談なんかじゃないわ。嘘偽りない私の気持ちよ」
「……そう言えと誰かから命令されてるとか? 前もって伝えておくけど……俺、ふんだくれるほどの金持ってないぞ?」
「
羽崎の論は最もだった。だからといって納得できるかと問われればそれはまた別。
「まぁそうだけどよ……でもほら、好かれる理由がないというか……これまで絡みという絡みも今までなかったわけだし」
「一目見て惚れたという可能性だってあるじゃない?」
「……………………」
「まったく信じていない様子ね。まあいいわ、理由はちゃんとあるの……それは、〝めぐろん〟があなただと特定できた話にもつながってくるわ」
すっかり忘れていた。そうだ、どうして彼女が俺を〝めぐろん〟だと知っていたか、それを聞き出すことが先決だったはずだ。
誘惑に翻弄されていたせいで、たったそれだけのことすらも頭の中からすっぽ抜けていた。不甲斐ないことこの上ない。
しかしそれがどう繋がってくるというのか? 皆目見当もつかない俺は無言のまま羽崎に続きを促す。
すると羽崎は口の端を上げ、僅かに弾ませた声で訊ねてきた。
「――今流行りの〝フォーペックス〟ってゲーム、知っているでしょ?」
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