温もりを求める冷たい幽霊と〝性〟なる夜を2

 恋人繋ぎのまま、俺と羽崎は夜の街を進む。デートスポットと呼ぶに相応しい場所はスルー、彼女は目もくれない。だが、足取りに迷いはなかった。


「な、なあ羽崎……お前一体どこに行くつもりでいるんだ?」


「言ったじゃない。暖を取れる場所って」


 言ってた。確かに言ってた。しかしその条件に適してるであろうとこをさっきから何度も素通りしているのも、また事実。緑川に紹介された店もまるで興味なし。


 しかも、こっちの方向ってあれだよな……高校生の俺達にはまず用がないあれがのきを連ねている……そういうあれだよな。


『そんな可愛らしいものじゃなくて……もっと激しく、そして――大人なやり方をご所望です』


 羽崎の冗談にしては笑えないあの発言が、徐々に信憑性を増しつつある。


 つ、つまりこれはもうあれなのか? 俺に翼を与えて天に羽ばたかせるというそんな――羽崎サンタさんからの性なる贈り物ってことなのかッ!


「……ふふ、当たりよ、目黒川君。今あなたが頭の中で思い浮かべている場所こそ、目的地」


「おッ、俺が思い浮かべてる場所が目的地ッ⁉ へ、へぇ~……てことは雰囲気の良いレストランか! じゃ、じゃあ引き返さないとだな!」


「あらあら、鼻の下を伸ばして言ったところで説得力の欠片もないわよ? さながらピノキオね、嘘がバレバレ」


 は……〝腹の下のモノを伸ばして〟――だとッ⁉ 何故だ! どうして羽崎は俺の〝ピノキオ〟が嘘ついたみたいにビンビンになっていることを知っているんだッ!


 ――まさかッ⁉ 張ってる? テントを張ってしまっているのかッ? 俺のピノキオが――冬のソロキャンプをしてしまっているというのかッ⁉


「どうしたの? 目黒川君。えらく強張った顔して」


 強張る? そんなに力強く張っていると言うのか? テントがッ!


 いや、さすがに深読みのしすぎ、か。自分じゃわからんが、よっぽど表情が固くなってるんだろう。ピノキオが硬くなっているのはわかるがな。


 しかし困った。外から見てどんな感じになっているのか、確認しようにもできないぞこれは。


 羽崎の目は今、俺の顔に向いている。


 ここでもし俺が視線を下に向ければ彼女も追従してくる可能性大。目も当てられないようなモノを羽崎に拝まれ、目も当てられない悲惨な未来が訪れてしまう。


 どうにかしてポジションを変更せねばならない。だがそのためには羽崎の注意を逸らす必要がある……気取られないよう自然な形で。


 ……チキショウ! 『あれ、UFOじゃない? 絶対UFOだよね?』作戦しか思い付かねえッ! 小鳥遊だったら引っ掛かってくれるだろうが、羽崎にしても間違いなく鼻で笑われるだけだ。


 クソッ、一体どうすれば――――どうすればいいってんだよッ!


「……………………」


 その時だった。羽崎はふと立ち止まり、おもむろに顔を空に向け空いた方の手で皿を作ったのだ。


「……雪」


 羽崎の零した白い息が俺の意識を誘導するかのように天へと舞い上がり、そして小さな小さな白い妖精達が舞い落ちてくるのを視界に捉える。


 夜空というキャンパスに描かれた幻想的な光景はまさに聖夜の奇蹟きせき。往き交う人々も皆足を止め、目を奪われる。


 まるで振る雪をシャワーに見立て、汚れ切った心を洗い落とすかのように。


 ――ここしかねええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッ!


 生じた隙を逃しはしない! とすかさず俺は空いた方の手でピノキオの位置を目立たないように動かした。


 …………ミッション、コンプリート。


「……ホワイトクリスマスね」


「え? あ、ああ……そうだな」


 夜空に向かって呟いた羽崎。その大人びた横顔に、俺は慌てて返した。


 …………俺、ほんとなにやってんだよ。




――――――――――――。

どうも、深谷花びら大回転です。


この度は――誠に申し訳ありませんでしたああああああ!


チ〇ポジ如きに1話使い切る予定はなかったんですが、つい筆が進んでしまい……こんな形に……。


ほんと……ごめんなさい。ごめんなさああああああああああああああああああああああああいッ!


……はい、取り敢えず謝ったんで、ここからは開きなって図々しくなりまあす。


皆……★、フォロー、コメントでわたくしを応援してくれ。わたくしのモチベは貴様らにかかっているぞ? おお? ええ? ほらほらぁ……なぁ?


ちょっとぐらい……いいだろ?♡

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