世間知らずなお嬢様と偽りのご挨拶3

「……それマジで言ってんの?」


 コクリと頷く小鳥遊。要求が想像の斜め上すぎて唖然とする他ない。


 鏡を見るまでもない。俺が間抜けづらを晒してしまっていることなんて確認せずともわかる。だって、あまりにもぶっ飛んでるんだもの。


 なるほどなるほど、そりゃ隠すわけだ。犯罪ではないけど……いや、もう犯罪みたいなもんか。小鳥遊のお父さんを騙すという点だけみれば。


 俺だからじゃない。こんなもん、誰だって『NO!』と突っぱねるはずだ。


「いやぁ、うん……さすがに無理だわ、それは」


「――お願い! あたしを助けて!」


 断るや否や俺の手を掴んで離さないようにしてきた小鳥遊。そのすがるような目が情を揺さぶってくるので非常に困る。非情になれればいいのだが……。


「助けてと言われましても……つか助けてってどういうこと?」


 彼氏役としてお父さんに挨拶しに行くことが彼女の救いに繋がるとでもいうのか? その純然たる疑問を俺は小鳥遊にぶつけた。


 すると、彼女はさも悔しそうな顔をして、ぽつりぽつりと零しだす。


「……お父さんが、縁談を持ちかけてきたのよ」


「縁談?」


「そう。しかも、あたしの知らないとこで勝手に話を進めてたらしくて……ついこの間、『年明け早々に親同席で会うことになったから』って、なんの前触れもなくいきなり……」


「つまりなんだ、その縁談相手が小鳥遊の好みじゃないからどうにか破談したい、と?」


「好みの問題じゃない。勝手に話を進めていたことが気に入らないの。きっと、お父さんに、会社に利益が生まれるから縁談なんて持ちかけてきたのよ。だからあたし、言ってやったの……『パートナーくらい自分で決められる』って。そうしたらお父さん、怒らず困ったように返してきたの……『甘美の将来を心配してのことなんだよ』って。それでその、ついムキになっちゃって…………」


 小鳥遊の言葉はそこで終わってしまった。が、経緯はわかった。最後は彼女が『彼氏いるし』とかなんとか言ってしまったのだろう。それで今があると。


 縁談、か。どおりで推測できなかったわけだ。古臭いというか、金持ちならではというか、庶民の俺には考えにすら浮かばない問題だ。


 だが実際、彼女はこうして悩んでいる。どこの誰かもわからない怪しさ満点の彼氏代行ツイートを頼りにしてしまうくらいに。


 たとえ蜘蛛の糸ほどだったとしても、彼女に希望を抱かせてしまった俺には責任というものが発生する。だが、俺なんかが責任を感じてどうにかなる問題じゃないのもまた確かだ。


 心苦しいが…………。


「……お願い、目黒川」


 俯いた小鳥遊は俺の手をギュッと握り、消え入りそうな声でそう零した。


 世間知らずで無鉄砲で天然、けれど決して弱さを見せない。それが、俺が持つ彼女への印象だ。


 それだけに目の前にいる小さくなった小鳥遊は見るに堪えない。


 どうにかなる気がさらさらしないが、コイツを見習って無鉄砲に突っ込んでみるのも……それに、無下にするには最低すぎる。


「……わかったよ。やるだけやってみる……ただ、あまり期待はしないでくれよ?」


 俺が言うと彼女はおもむろに顔を上げる。瞳は僅かに潤んでいた。


 そのらしくなさが俺をむずがゆい気持ちにさせてくる。


「ほんとに、いいの?」


「いいよ。俺にも期待させた責任あるし」


「……ありがとう。目黒川」


 安堵したように笑う小鳥遊から俺は顔を背けた。恥ずかしさと、それから申し訳なさによるものだ。


 相手は人の上に立つ人間。一介の高校生が敵うような相手じゃない。身の程知らずがこれ程までに相応しい状況も中々ないだろう。


 そんな俺に武器なようなものがあるとしたらそれは……〝若さ〟、くらいだろうな。



――――――――――――

どうも、深谷花びら大回転です。

前回のあとがきは自分でも意味わからないレベルだったので今回は真面な感じでいこうと思います。

現在、カクヨム様(笑)の方でビッグイベント『カクヨムコン』なるものが開催してますね。わたくしも参加しているのですが、これがまあ実感というものがまったくわかなくてですね。なんか、全然お祭り感なくね? みたいな。

まあ、しゃーないっちゃしゃーないんですけどね。やることはこれまでと同じ、pcと向かい合って4545するだけですもん。目に見えてわかるのはランキングの変動ぐらいですか。

もっとこう、作者と読者が入り乱れる乱交〇ーティーみたいなのを期待してたんですがね……残念です。

ちなみにわたくし、読者選考なるシステムがまったくわかっておりません。ちゃんと読めやとお思いの方もいるでしょうが、わたくし、取扱説明書アレルギーでして、目を通すと、場所・時間とわず4545してしまうんですよ。だから読んでないんです。

ただ、ただですよ? 読者選考ってワードを聞いてパッと思い浮かぶのは『あ、これ、もともとファンが多い人めちゃ有利じゃん』ってなっちゃいますよね。

一体どうしう仕組みになってるのかしら?


ちょっとだけ目を通してみようかし…………ああ、ああ…………4545454545454545454545545454545454545454545454545454554545454545454545454545454545455454545454545454545454545454545454545455454545454545454545454545454545545454545454545454545454545454554545454545454545454554545454545454545454545454545454554545454545454545454554545454545454554545454545454545454545454545454554545454545454545454554545454545!!!!!


ド――――――――――――ピュッ♡

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