#01 多才過ぎて、神童と呼ばれた
5歳になる頃、魔法と剣術の才能が開花した。何故、分かるかって?母と
「フィリスちゃん!」
母が詠唱している間に、僕フィリス・ディラスリナが無詠唱で飛んでくる火球を消化してしまったからだ。その様子を見た母と姉は喜んでいたよ、「無詠唱よ!うちのフィリスは天才よ‼」って言いながら呆れ困り果てている姉と一緒に。
侍女さんに感動された時は、昨日だったな。氷の魔法で簡易的なスケートリンク上を作って遊んで時に物音がしたからその方向を見たら、口元を抑えて驚愕している侍女さんが居た。
6歳になると姉の師匠という人に手が滑る反動で斬られかけた時があったが、記憶が無い。まるで別人のように師匠の剣を受け流して反撃の一撃を加えている姿を姉から聞かされた時は正直、ビックリした。
10歳になると、あらかたの魔法と剣技術を覚えたこともあって街で月に1度開催される闘術剣技祭に出場した。最少年齢かつ出場者のなかで最弱と勝手にレッテルを貼られた。
非常に、不愉快である。
「――それでは、始めぇー!」
司会の女性の声で我に返ると、目の前に迫る剣を持った男性が来ていた。
「ガキは、大人しく、泣いていろぉ!」
ムッ・・・、なんか腹が立つ。
「――フッ・・・、遅いよ。おじさん」
鞘から素早く抜いた動作のまま男性の背後で何事もないかのように
その光景を見ていた観客や度肝を抜かれた他の参加者たちは、歓声や剣を振るうのを辞めた。その異常光景を間近で解説していた司会の女性は「これは・・・史上まれに見ない出来事です」と言ったが一向に向かってこない参加者に不気味に思ったフィリスは、「アハハ!来ないなら、向かうよ~?」と笑いながら立ち止まっていた参加者の間を閃光のように駆け回り始めた。
「・・・安心してよ、ミネウチだから」
司会の前に現れて鞘に剣を納めると、立ち止まっていた男性や女性らが一斉に剣を落として倒れていった。
「遅すぎるから、楽しくない」
その言葉を聞いた白髭を生やした男性は「こやつは、歴史上最強の剣王になるぞ」と言ってVIP席で微笑んでいた。
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12歳になると剣を極めすぎたせいなのかまたは、魔法を勉強したせいなのか。母と姉から多才過ぎて神童と呼ばれた。
まぁ、気は悪くない。寧ろ、誇らしく思う。
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