第2話 『主人公』の目覚め

 目が覚めると、僕は知らない部屋で寝ていた。


 体のあちこちが痛いのは床が石だからに違いない。


 体を起こし辺りを見渡す。


 目の前には、いかにもな宗教的マークや別世界を感じさせる三本の蝋燭が一つの明かりになっているものがあるが。


 まず目についたのは床に描かれた魔法陣だった。


「召喚された感じなのか。」


 身体が納得してしまう。


 しかし、これをおかしいと思っていても何も感じない。


 頭が二つに分けられているようだ。


「これからどうしたらいいんだ。」


「そりゃあ、世界を救うんだよ。」


 後ろから声がかけられる。


 声のした方向に向く。


 そこには、ドアを塞ぐように設置された椅子に座った一人の騎士がいた。


 …騎士だよ。冗談じゃないよ。


 甲冑をまとい、大きな剣を一本担いでいる。


 これを騎士と言わずになんと言う。


「あー。カイリです。」


「あ?…ああ、自己紹介な。いつもはテンパったり驚いたりするやつが大半だから驚いたぜ。俺はドロシア、『聖騎士』をやってる。お前はなんだ?」


「なんだ…なんだって何ですか。」


「『役』だよ。転生の神になんか言われなかったか?」


「ああ、僕は『主人公』って言われました。」


「『主人公』?珍しいな。なんだかふわっとしてる。」


 と言いながら、手を伸ばしてくれる。


「まあ、お前もここにきてしまったんなら『英雄』だ。よろしく。」


「よろしく…うぉっと。」


 そのまま握手かと思ったら、そのまま持ち上げられた。


 身体は起立の形になる。


 …力つっよ。


「起きたのを見たやつがこの世界のルールを教える決まりなんだ。ついてきな。」


 かしゃんかしゃん。音を鳴らしながら扉を開けるドロシア。


 慌ててついていく僕。


 『主人公』はまだ寝ぼけまなこである。

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