第133話 兗州・曹操の帰還
巨鳥の啼き声のような甲高い金属音を響かせて、
まず、先陣を切っていた
さらに
やがて、
「よくぞご無事で戻られました!」
その声に、護衛兵に囲まれた軍服の少女は、馬上でゆっくりと振り返った。
「やあ、君たち、ごきげんよう……。君たちは幻かな、それとも本物かい?」
少女のまぶたはすでに半分ほど閉じている。
「幻ではありませんよっ」
荀彧がそばに寄って馬の
着地した時よろめくと、皆一斉に手を差し伸べたので、少女は少し笑った。
そして乗馬用の革手袋を脱いで拱手し、鄄城と他の二城を守りきった二人を尊敬の眼差しで見上げた。
「あなた方の力がなければ、私たちは帰る場所を失っていた。あなた達には感謝してもしきれません」
さらに、程昱の手を握ると、優しく微笑んだ。
「
この二県を守れなかったら、この鄄城も私たちも滅んでいたかもしれない。
……そして、すべては私の至らなさのせいなのだから、君はどうか、気に病まないでほしい」
手を握られたまま、両ひざをついて少女を見上げていた程昱だったが、最後の言葉を聞くと、深々と一礼をした。
少女は彼を立ち上がらせると、兵士が通り過ぎていく砂ぼこりの中を見渡した。
「しまったな。誘導をしてくれた
あとでちゃんと感謝しておくよ……」
「
彼らはつらい仕事も、地味な仕事も、嫌な顔せずに勤めてくれるので驚きました」
「ふふ、それは良かった……」
そう言うと、欠伸をしかけて慌てて口を閉じた。
「うむ、今日はもうだめだ、眠すぎる。悪いが、また明日、会おう。
これが本当に夢でなく、君たちが、消えなければね。
疲れのせいで、何度も君たちの幻覚を見たからね。疑い深いのは許しておくれ……」
つづく
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