第15話 勝つしかない
先生「はいーそこまでー。後ろの列の人は回収してきてくださーい」
試験が終わった。
結局雅也は、美佐から習った英語の三単現のところが少しわかった以外は散々な出来であった。
雅也「ま、予想通りだから、挫けない、挫けない。」と自分に言い聞かせる。
もうこの入学して三ヶ月が過ぎた頃になると、ちやほや付き合い出すカップルが増えてきた。下駄箱でカップルが待ち合わせて仲良く靴を履きながら、試験の話しをしていたりする。
そう、深瀬と矢川さんも付き合い出したそうだ。よかった。
そして試験が終わると学校内は、各部活が夏の大会に向けて活気が増してくる。雅也のバスケ部も同様で、特に三年生は最後の大会なので、気合いを入れている。
村田「集合ー!」
「おつかれさまでーす!」
部員一同体育館の中央に集合する。
村田「よし、とうとう今週末から、夏季大会だ。三年生は最後の大会になるから、悔いの残らないよう頑張ること!」
部員一同「はい!!!」
村田「じゃ対戦相手を発表する!」
柴山「頼む!弱いとこで!」
村田「1戦目 シード」
部員一同「おー!よかったー。」
村田「2戦目 芳村中」
部員一同「よーし!!」
芳村中は、それほど強くない。
村田「3戦目 東郷中」
部員一同「•••」
静まり返った。
柴山「えー、そこで東郷と当たっちゃうのー?」
東郷中は、いつも優勝か準優勝するような学校で、七郷は、ここだけとは当たりたくないと思っていた学校である。
岩田「勝つしかないな。」
村田「そうだ!勝つしかない!今年のお前らなら全然勝てないわけじゃない。」
村田先生は、今年のメンバーなら3位までに入る実力はあると確信している。七郷中創部初の都大会出場を狙っていた。
村田「土日の連戦になるから、初戦はなるたけ3年を温存するから、1、2年もいくからな。そのつもりでいろよ 。大丈夫か?藤堂」
雅也「はい。がんばります。(びっくりしたー)」
岩田「頼んだぞ、雅也。みんなで戦うぞ!」
部員一同「おいっす!」
その日の練習は、イワケンくんは勿論、シバケンくんも他の3年生も、1年も2年もみんな気合いが入った。
土曜日 第一戦 対芳村中 (会場芳村中)
大会開始。少々緊張の中、第一戦目芳村との試合が始まる。
試合開始早々、七郷の猛攻。岩田がいきなりジャンプシュートで決め、その後柴山もフリーからのスリーポイントで続く。七郷は岩田と柴山が暴れまくり、早いパスとシュートで点を重ねていく。芳村ボールになってもすぐ奪い返し七郷の攻撃が止まらない。1p終わって32-4
2p以降も七郷ペースが止まらず、ハーフ終わって63-12
村田「よーし!いいぞ! さて、後半1、2年行くからなー!」
後半は3年を明日のために休ませ、1、2年がメインで代わる代わる入った。最後の方に雅也は入ると、合わせで1本シュートを決めた後、レイアップでも1本。調子に乗ってもう1本ミドルを試みたが入らなかった。
ブザー
試合終了 七郷98-27芳村
1戦目は楽勝で勝った。
「おー!イエー!」
メンバーはハイタッチして喜んだ。
村田「本番は明日だからな。皆今日は早く寝て調子整えとくんだぞ。」
その夜
美佐「えー点入れたのー?」
雅也「うん!大会で初得点だよ。やっぱ嬉しかった。」
美佐「すごいじゃん、4点すごいよー雅也くん!だって1年ですごいよー」
雅也「もう1本入れたかったけど。ま、少し貢献できてよかった。」
あまりにも美佐が喜んでくれるから、雅也も鼻高々になった。
雅也「オレのことはいいけど、明日先輩達がんばってほしいなぁ」
(明日も良い報告出来るといいな。。)
日曜日 第ニ戦 七郷中対東郷中 ベスト8決定戦(会場七郷中)
村田「スターティングメンバーを発表する。」
4 岩田研一
5 柴山賢吾
7 菅野 守
9 木崎直之
16 村山潤一
雅也「さすが東郷戦は、村山くん(2年)以外は3年でいくね。わー、緊張してきた。」
2階の通路には手前、七郷バスケ部員の応援団に埋め尽くされ、勿論麻衣子も柵にしがみつくように応援の準備をしている。その横にはおそらく岩田ファンと思われる制服姿の女子生徒や、東郷-七郷戦を見に来た他校の生徒らも、まだかと待ち望んでコートを覗き込んでいる。
向こう側は東郷応援団。強豪高校の久我山学院のコーチが来ているのが見える。いわゆるスカウトマンで、良い選手を見つけに来ている。東郷は毎年何人かスカウトで久我山学院に行っている。七郷はあまり有名ではないが、岩田は小学生のとき選抜だったのでチャンスはある。
実は岩田は、久我山学院に行きたいと思っていることもあり、この試合に燃えているのだ。
まもなく試合が始まる••
まず、相手の東郷が、余裕があるかのように、ゆっくりとコートに入ってきた。
岩田「さ、みんな始まるぞ! 行くぞー!」
ベンチ全員で声を合わす。
七郷の5人がコートに現れる。場内からは、歓声が湧く。
雅也は大事な試合と会場の雰囲気に、緊張と湧き上がる興奮を感じていた。
雅也(いよいよだ。がんばれ七郷!)
続く••
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