第11話 価値観
雅也「おー、宮田久しぶりじゃん!あれからしばらく来ないから心配してたんだよ。学校でもなんか静かだったし。」「祭りも来てた?」
久しぶりに宮田が、夜、家にやって来た。
宮田「ごめん。色々あって。」
雅也「どうした?麻衣子とうまくいかなかったのか?」
宮田「うん。聞いてくれよ雅也」
と言って宮田は話し出した。
話しをまとめるとこうだ。
約束通り土曜日に麻衣子と映画には行って、帰りにハンバーガーを食べて、
予定通り三丁目公園に戻ってきた。で、ベンチに座って。までは予定通りだったが、
麻衣子はさっき見たミスターブーの映画が興奮冷め止まぬで、真似付きでずっと話してばかり。一向に宮田の肩にもたれ掛かって来なかったそうだ。
麻衣子はお笑い好きだったこともあり、ミスターブーにハマってしまったようだ。
麻衣子は眠くもならなく、むしろ元気そのものだったそう。
雅也「映画の選択ミスじゃん?」
宮田「まぁね。でも麻衣子がこれ見たいって言うからさー、しょうがなかった。」
そして宮田は、とうとう待ちきれず麻衣子に無理やりキスをしようとしたそうだ。そしたら麻衣子は怒って、宮田を突き飛ばし、帰ってしまったそうなのだ。
その数日後に麻衣子から電話があって、別れようと告げられてしまったそうだ。そう、宮田は麻衣子にフラれてしまったのだ。
「気が合わない」「価値観が違う」「映画も笑う場面が違った」「私はロマンチックな人が好きだった」などの別れたい理由を散々言われてフラれたそうだ。
しかし宮田は、「価値観?」「何が笑う場面が違うだ?」「ロマンチック??」「突き飛ばしやがって」「だからスポーツやる女は嫌いだ」と、悪口を言って後悔していなかった。
雅也は麻衣子の言ってたことに少し納得しながらも、「そうだそうだ」と宮田の方に同調した。
宮田「オレ、3組の沙織に申し込む!」
宮田は既に次の付き合う相手を考えていた。そして、宮田は話し終えて、すっきりした顔で「じゃ、まーちゃん、また来るよ。」と手を振って帰って行った。
「宮田ーがんばれよー!」と雅也も手を振って宮田を励ましたが、(宮田は心配ないな。さすが宮田だ)と思っていた。
--------------------------------------
麻衣子「雅也ー聞いたぁ?」
部活の最後にボールを片付けていたら麻衣子が話しかけてきた。
雅也「あー、聞いた。別れちゃったんだって?」
麻衣子「うん。あいつサイテーだよ。やらしいことしか考えてないんだよ。」
麻衣子は周りをキョロキョロっと確認した後、話を続ける。
「だって、変なことばっかししか考えてないんだよ。私の話しぜんぜん聞いてないし。ずっと私の口ばっか見てて、キスしようとしてるのわかったんだけど、なんか嫌で、あーダメだーってなっちゃってー」
雅也「でも宮田は麻衣子のこと好きだからじゃないの?」
麻衣子「もうちょっと男らしいと思ってたのになー。私のタイプは、ロマンチックで男らしくて、スポーツマンが好きなの。浩二サッカーやってるしスポーツマンと思ったんだけど、付き合ってみたら、ぜんぜんスポーツマンじゃなかったの。あと、映画観たとき全然笑うとこも違くて、終わって話をしても全然かみ合わないし。価値観が違うのかなぁって。」
雅也「らしいね。聞いた。宮田は確かにスポーツマンぽくはないけどな。」
(ごめん、宮田。)と雅也は宮田に心で謝って、今日は麻衣子に同調した。
麻衣子「そんなんで、考えて、別れることにした。」
雅也「そうか。」
麻衣子「やっぱり私は岩田先輩がいいな。」
雅也「あー、なるほどイワケンくんかー」
その帰り、今日も美佐と帰った。
美佐「そうなんだ。別れちゃったんだ?」
雅也は、宮田と麻衣子のことを話した。もちろんキス作戦の話しは抜いて。
美佐「確かに笑うポイントが違うのは淋しいなぁ。やっぱり面白いときは、一緒に笑って、悲しいときは、一緒に泣く。感覚が一緒でないとね。」
雅也「うん、麻衣子は映画観た後、価値観て言うの?この人とは違うと思ったんだって。」
美佐「価値観かぁ。よくわからないけど、物事の感じ方とか考え方かなぁ。」
雅也「そうだろうねぇ。」
と雅也は話しながら、果たしてオレと美佐の価値観は同じなのかぁとふと思った。
美佐「雅也くんと私、価値観同じ?」
美佐も同じことを思ったのか、同時に訊いてきた。
雅也「違ってはいないと、オレは思ってるけど、どう?」
美佐「私も。同じだと思ってるよ。今まで付き合ってきて、違うとは思ったことないし、考え方も同感だし。ま、ギャグのセンスはちょっとずれてるけど。笑」
雅也「ギャグ?笑 オレのギャグサイコーでしょー」
雅也は、美佐が価値観同じと言ってくれたことにホッとして、笑った。
女子の”ませてる”って、エッチとかそういうことだけじゃなくて、考え方がませてるのだ。価値観とか人の中身とかまで中学生ですでに付き合うことの要点になっている。大人の考え方をしてるというか、ませてるのである。
一方男子は、付き合う要点はまず顔である。ある男は胸の大きさと言うヤツもいる。いわゆる外見重視である。
それが、宮田と麻衣子のようにズレを起こすのだろう。
(男と女の考え方のズレ?価値観?難しいなぁ。。)
今日の雅也は、男と女、初めてキス以外のことで考えたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます