第9話 オレのキス論

オレは美佐を待たせてしまっているのか・・・

そんなことないだろう。。

でも、もしそうだとしたら、、

鈍感な男とか思われているかもしれない。


雅也は、宮田の話しを聞いた後、一人布団の中で考えていた。


「キスって、付き合って1年くらいしたらするもんなのかと思ってた。」

正直、美佐とキス、ファーストキスは、中2か中3くらいで経験できれば良いと、雅也は思っていた。


「女の子はませてる・・待っている・・」

本当なのか・・


いや待てよ。そういえば、申し込まれたのも、美佐からだった。

「小学校の頃から好きでした」と書いてあった。

ん、ませてる?

美佐もませてる?

小学校の頃からオレのことが好きで、オレのこと考えてくれていた。

もしかして、キスすることとか、すでに小学校の頃から考えてたりしていたのだろうか?

宮田のファーストキスの相手の子も小6であぁ言ってたということだから、美佐も同じでも不思議はない。


中学入学早々とも言える、入学10日後の4月18日に手紙をくれたことも、考え方によっては、ませてる部類だもんな。

美佐から手紙で申し込まれて、付き合いだしたわけで、美佐のがやはり上手。オレは受け身?自分から早まらないのは受け身のせい?

オレは受け身のほうだから、ゆっくり付き合っていきたいと思い、美佐は本当はどんどん進みたいと思っているのなら、ズレていることになる。

考えてみたら、「誘ってくれない」と言われたこともあった。

「一緒に帰ろう」の約束も、どちらかというと美佐の方から、言ってくることが多い。

確かに。。。

雅也は完全に、「女の子はませてる」説に納得してしまっていた。


正直オレも、女の子とキスすることを想像したこともあるし、女の子の裸を想像したことももちろんある。女の子のませてる考えと同等とは思っている。


でも想像するときは、美佐がオレの肩にふっともたれ掛かってくれたところとか、最高でもオレの腕枕で美佐が耳元でつぶやいている状況くらいがオレの想像だ。

かっこつけてロマンチックに言っているわけではなく、本当にそうなのだ。

鈍感とか奥手とか思われるかもしれないが、オレは今求めているのは、この想像範囲のことだ。


「オレはこう思ってるけど、どう?」

と美佐に訊くわけにもいかないし、

「美佐は何を求めてる?想像してる?」

なんて訊けるわけないしな。


困ったな。


雅也は、永遠に布団の中で考え続けた。


だいたい宮田のキス作戦は、唇を奪う的な、いわゆる肉体思考だよな。チュっともらっちゃえば勝ちみたいな。

オレは違うんだよね。キスというのは、心と心でするみたいな、お互いの愛情を確認するためにするもの。

ただ心はかたちにないから、心と心で触れ合うことは出来ないので、唇を代わりに使って、触れ合う。愛情確認する。

それが、キスだと思う。

そうだ!

どうだ!

オレのキス論だ!



ようやく締まった!と

納得いった雅也は、ずれてた掛け布団を直してようやく、眠りに入ったのであった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る