第6話 変態vs変態

 自転車に乗ったロリ対象の痴漢犯が真莉ちゃんに犯行を行い、それを見た童子はその男を裁くと決心した。


 痴漢男は真莉ちゃんを通り過ぎ、こちら側に向かってきていた。


 なんて汚いド変態野郎だ!俺が必ずお仕置きしてやる!


童子はそう固く決心したがやはり赤の他人にキレちらかしたことが無いので、うまく説教できるか心配していた。そして痴漢男が前を通り過ぎようとした。


 「ちょい待ちな」

童子が痴漢男の通り道を塞ぎ呼びかけた。


「あなたを、えぇ〜と......、痴漢罪?で訴えます。理由は勿論お分かりですね?」

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ


 と、幼女に対して行った犯行を許さない童子は、目の前のこの男を処刑する。そのような想いを言葉に乗せた。


「あなたがロリ達をそんなチートテクで触り、彼女達の神聖な身体を汚したからです!覚悟の準備をしておいてください。近いうちに訴えます。裁判も起こします。裁判所にも問答無用で来てもらい......」


「一体君は何を言っているんだい?ただのイタズラなら今後はやめておいた方がいいよ?」


 と、男はいかにも偽善者のような清々しいほどのセリフを口にした。

 童子の主観的にこの男は「仕事は真面目にそつなくこなすが、今ひとつ痴漢にしか興味の無い男」のように思えた。


「いいえ、決してイタズラじゃあないですよ。」


「そんなに僕のことを嫌がらせたいのかい!?それとも証拠でもあるのかい!?」


 得意げに返した童子に対し、男は少しキレ気味に言った。おそらく、それほどに自分のテクに自信があるのだろう。


「そりゃあ勿論。僕のスマホにバッチリ映ってますよ」


 と童子はポケットに手を入れた次の瞬間気づいた、スマホは勇人に渡したままということを。


 あ、アイツまさか、これを狙って......!

俺が勇人からスマホをもらいに行った時に、自転車で逃亡を図るつもりだなッ!?


「きっ、きたねぇぞお前ェッ!」


「ど、どうしたというんだ!?僕が!?」

 

 別にそんなことを企んでいなかった男はとても動揺しているようだった。


「勇人ッ!こっちに来てくれッ!」


 童子は焦って勇人にそう叫んだ。すると勇人は何故かえらく興奮していた。


「おい、童子!どうしたんだよこの動画!真莉ちゃん痴漢されちゃってるじゃん!」


童子はこんな時にも能天気な勇人に嫌気がさした。


「勃っとる場合かーッ!」


童子はそう言い放ちスマホを取り上げて、男に見せた。


 すると、男は数秒スリープして、その後にこう言った。

「......バレてねぇから犯罪じゃねえんだよ」

ボソッ


男は絶妙に聞き取れるぐらいにそう言った。


「確かにバレなきゃ捕まらないし犯罪じゃないかもしれないな...」


すると男は顔を明るくした。単純なヤツ。


「やっぱり、そう思うだ...」


「とでも言うと思ったかッ!マヌケがアァァァァ!」


 童子は男の言葉を遮り、そう叫んだ。そして、それを傍観していた勇人は爆笑していた。


 なぜか空気が静かになって気まずくなった童子は申し訳程度にこう言った。


「...もう、バレたから犯罪な?」


 そして、また勇人がツボった。


                 6話 完

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