64、ハーレム?



「‥‥‥元勇者?」


「そうだ。俺はそこにいる勇者レイラの、前の勇者だからな」


 ちょっと話が散らかってきた。

 理解力が追いつかないのは、俺の賢さのせいか?


「‥‥‥えっと、元勇者って事は異世界から来たんですか?」


「そうだ」


 まじか?!

 俺やレイラと同じって事か。


「その勇者が何で魔王に?!」


「‥‥‥そうだな、まだ秘密だ」

 

「ここまで話してお預けですか?!」


 魔王は俺の前から離れると、手から魔力を出した。

 転移魔法を使う気だ。


「教えて欲しければ、もっと遊びに来い」


「待って待って、あと一つだけ聞きたい事がある! 転移してもすぐ追いかけますからね!」


「追いかけて来られるのも悪くはないが‥‥‥」


 魔力はまだ手に留めたままだが、思いとどまって頂けたようです。


「女神様は無事なのか?」


 女神様は魔王に捕まっていると思ってます。


「女神はいなくなったのか?」


「急にどこかに行った」


「俺を疑ってるんだろうが、俺は何もしてない。‥‥‥確かに嫌いだがな」


 魔王と女神様はやはり仲良くはないのか。


「‥‥‥じゃあ本当に、急用でどこかに行っただけなのかな?」


 手紙にはそう書いてあった。

 心配する必要はないのかな?


「女神がどこにいるのかは、おおよそ見当はつく。‥‥‥あまりあいつを信用するな」


 女神様が相当嫌いな様子。


「‥‥‥その辺も内緒ですか?」


「今のお前らに話しても仕方ない。もっとレベルを上げろ。せめて俺に勝てるようになったら教えてやる」


「‥‥‥魔王に勝ったらゲームクリアーですよ?」

 

「そのうち嫌でも全て知る事になるだろうが、とにかくレベルは上げておけ」


「因みに元勇者ならレベルとかあるんですか? いくつくらいになればあなたに勝てそうです?」


「俺はレベル1578だ。お前らは弱すぎる」


 魔王、強っ!!


「‥‥‥全然勝てる気がしない」


「勝てなくても、キスでもしてくれたら全部教えてやってもいいぞ?」


「‥‥‥え?」


「ゆっくり考えといてくれ」


「‥‥‥はい」




「あ、そうだ勇者レイラ。お前はニアと付き合っているんだろ?」

 

 鉄仮面がレイラの方を向いた。

 修羅場ですか?


「はい、ニア様は私にとっても大事な人です」


 凛と答えるレイラ。


「そうか。俺はいい男には、何人も嫁がいるもんだと思ってる。お前とニアの関係を邪魔する気はない。ニアを口説いても良いか?」


「ニア様が魔王さんを迷惑と思ってなければ、私は構いません」


「よし。勇者レイラ、これから仲良くしてくれ」


「魔王さん、よろしくお願いします!」


「レイラも一緒に遊びに来いよ」


 そう言うと魔王は魔力と共に消えた。





 俺は一夫多妻制が成立する瞬間を見た気がした。

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