14、ゲームの限界



 俺は運命の日を迎えていた。

 

「せいや!」


 ストーンスナイプを放ち金属スライムを屠る。



【経験値30070 獲得】



「‥‥‥まだか」


 俺が待っているのはレベルアップを知らせるウインドウ。


「‥‥‥そろそろのはずなんだ」


 レベルが上がる度に必要経験値が少し上がるのは、なんとなく俺の知るRPGゲームと同じ。

 それを加味してもとそろそろなんだ。

 俺はステータスウインドウを開く。



【ニア】

レベル99

力267

素早さ239

身の守り232

かしこさ274

魅力251

HP480

MP242



 お分かり頂けるだろうか。

 レベル99になっちゃいました。

 普通のゲームなら限界値です。

 そう俺が待ってるのは、レベルが100に上がった事を知らせるウインドウ。

 

 ──急ぎ過ぎた。


 異世界転移から3ヶ月、毎日毎日レベル上げをしてたらこんな事に‥‥‥。

 もしこのままレベルが上がらなければ、俺は何を目標に生きていけば良いんだ。

 お金を貯めるという目的もあるが、一つの目標を失うことは俺の精神ポイントに関わる。

 因みにこの3ヶ月で稼いだお金は1,287,560ゴールド。

 日本円で1億2千万円以上。

 毎日アリスの宿屋に泊まるとする。1日25ゴールド、1年で9,125ゴールド。俺が後60年生きるとし仮定したら547,500ゴールド。

 半分のお金で生きていける、やったお金持ちだね!

 ‥‥‥と、いうわけだ。


「このままでは、宿屋に引き篭もってしまいそう」


 やっぱりレベルが上がるのって大事!


「えいや!」


 ガゴギンッ!


 いつもより力が入る。

 へしゃげる金属スライムさん。



【経験値30070 獲得】



「‥‥‥まだか」


 まだと言っていいのか。


 ──もう来ないんじゃないのか?


 すでになんとなく計算している、必要経験値の2倍程稼いでいる。


「‥‥‥そう‥‥‥だよな」


 俺は泣いた。

 RPGのレベル上限は99。

 分かっていたじゃないか。

 

「‥‥‥こんなことなら、もっとゆっくり楽しみながら上げるべきだった!」


 俺は涙で濡れた手で小石を持つ。


「くらえ我が友よ、これが俺の最後の投擲だ!」


 カッキーーン!!



【経験値30070 獲得】


レベルが100に上がった

力3

素早さ3

身の守り2

かしこさ3

魅力3

HP5

MP3

それぞれ上昇



「うおおおおおおおおぉおぉ!!!」


 俺は空に向けて、これでもかってくらい叫んでいた。





 その後レベルは100で上限かもしれないとビクつく俺は、徹夜で金属スライムを狩り続ける。

 日の出と共に迎えたレベル101のウインドウを見て、喜びながら気絶した。



 

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