第4想定 第6話

 客で賑わう宮崎空港。

 今日の俺はSSTの任務でここにいるわけではない。

 高校の制服を着て、クラスメイトに混ざり飛行機への搭乗手続きの順番待ちをしているのだ。当然隣には舞香がいる。

 これから数日間にわたって俺たちは修学旅行に行ってくる。

 まぁSSTの勤務は非番ではあるが、出先でヤンデレ事件が発生したら真っ先に駆り出されるんだけどな。

「それでこの宮崎空港はもともと日本海軍の飛行場だったんだ。現在では滑走路は1本だけだが、戦時中は3本の滑走路が設置されていたんだぞ。そして今でも掩体壕えんたいごうが残っているんだぞ。おっと、掩体壕っていうのは航空機を爆撃から守るコンクリート製の格納庫の事だ。話が逸れるが俺の家は旧日本海軍富高飛行場の跡地に建っているんだ。小学生の頃には通学路に自動車整備工場として使われている掩体壕がひとつだけ残っていて登下校の途中によく登って遊んだものだ。だけど掩体壕ってコンクリートで作られているから老朽化していたし、区画整理の問題もあって俺が中学生の頃に解体されてしまったけどな。今は跡地に掩体壕のほんの一部が残されていて隣に説明板が設置されているんだ」

「………………」

 俺は舞香を楽しませようと宮崎県の航空事情の歴史について語る。

 しかし彼女はどことなく顔色が悪いようだ。

 はは~ん、分かったぞ。

 舞香のやつ、飛行機に乗るのが初めてで緊張しているんだろう。

 しかしその緊張をほぐしてやるのも恋人である俺の義務というものだ。

 もっと宮崎県の航空事情について語ってやるぜ。

「そうそう、宮崎県の航空事情といえば新田原にゅうたばる基地の第23飛行隊を忘れちゃいけない。第23飛行隊は航空自衛隊航空教育集団飛行教育航空隊隷下の飛行訓練部隊でF15の戦闘機操縦課程の教育訓練を実施している部隊だ。だから全国のF15戦闘機パイロットは全員この宮崎県で訓練を受けていたというわけだ。おっと新田原基地といえば対領空侵犯措置対空侵、つまり領空侵犯の可能性がある国籍不明機に対する緊急発進スクランブルを行っている基地として有名だな。航空自衛隊のスクランブル発進は有名だが、その対空侵任務を実施している基地は全国に7か所だけというのは意外と知られていなくて――」

「おう、宗太郎。やっと見つけたぜ」

 舞香の緊張をほぐそうと熱心にガイドしていた所にとんでもない奴が現れた。

 その声の主は一瞬にして分かった。

 史上最悪の邪魔者だった。

「……なんでここにいるんだよ」

 郁美だった。

 突然の登場人物に周囲のクラスメイトがギョッと振り向いた。

「修学旅行の見送りに来たんだよ」

「……ご親切に」

「それで修学旅行はどこに行くんだ?」

「伊丹空港に飛んでそこから岐阜県。そして神奈川と東京に行って。3泊4日で帰ってくる」

「岐阜県って何もないところだろ」

 おい。

 岐阜県民に殺されるぞ。

「岐阜県にだって有名な場所はあるんだからな」

「例えば?」

「ほら、西●運輸とか、岐阜かがみはら航空宇宙博物館とか。……それにカンガルーの運送会社にセイ●ーホールディングスとか」

「ほとんど西濃●輸しかないじゃないか」

「岐阜県なんかに期待してんじゃねぇよ!」

 文句なら岐阜県民に言いやがれ。

 俺たちの原作者がグループ企業に勤めていたからそれしか出てこないんだよ。

 なんならもっと語らせてやろうか?

 その会社の創業者が兵役に行ったときに見たトラックの輸送能力に感銘を受けて運送事業を始めたこととか、前例のなかった長距離輸送の許可を得るために握り飯を持って20日連続で当時の運輸省に通い詰めたこととか。

 退職してから数年が経ったけども、その会社で教育された『福寿草精神』は今でも役に立っているらしいから岐阜県って聞いたらその会社を思い出すんだよ。

 ……だけど原作者のやつ、運送会社をテーマにした小説を書く予定だからこれ以上は語らないけどな。誰かに先を越されたら嫌だし。

「見送りは感謝するから早く帰れよ」

「なんだよ素っ気ないな」

 郁美は甘えるような声で俺を誘惑してくる。

 それに対抗するかのように反対側の舞香は腕を絡めてきた。

 嫉妬しているのだろう。

 俺の腕を抱きしめる舞香は愛らしいものがあるが、その手は嫉妬心と同時に殺意を抱いているかのようだった。

 おいおいおい。

 これはマズいぞ。

「オレたち、あんな事やこんな事もやった仲だろ?」

 そう言いながら郁美は俺の股間を掴んできた。

 何かを期待するかのようにこちらを見ていた男どもは一気に目を逸らした。そして周囲に気づかれないようにそれとなく股間を抑えている。

 股間を掴まれるなんて俺は慣れてしまったが、普通ならばそのような反応をするよな。

 そして女子たちは汚物を見るかのような視線を俺に送っていた。

「言い方考えろよ」

 それって山地機動訓練とか水路潜入訓練とかそういうのだろ。

 わざわざ誤解を生むような言い方をするなよ。

 それにアンタはヤンデレの鎮圧を主任務とするSSTの隊員だろうが。今にも隣で舞香がヤンデレ化しようとしているんだからな。SST隊員が一般人をヤンデレ化させたら本末転倒というものだ。

「とりあえず、お土産よろしくな~」

 そういいながら嵐は去って行った。

 残されたのは期待や侮蔑に満ちたクラスメイトからの視線。

 そして腕にめり込む爪の痛みだけだった。

「宗太郎……あの女……ダレ?」

 ちくしょう。

 今日は平和だと思ったのに。

「ただのバイト仲間だよ」

 バイトにしては命を懸けすぎているけどさ。

 しかし減給処分を食らいすぎて最低賃金ギリギリの給料しかもらっていない。それだけを見ると立派なバイトだ。

 国家機密に触れる部分は伏せながらも、毅然とした声で関係性を説明した。

 俺は浮気なんてするような男じゃない。

 そんな事すら考えたことすらない。

 そもそも郁美は外見も中身も願い下げだ。

 しかし舞香は俺の説明に納得がいっていない様子だ。

「……宗太郎って日向に住んでいるのに宮崎でバイト?」

「違う違う。アイツは異常にフットワークが軽いんだよ」

 軽いのはフットワークだけじゃないけどな。

「……じゃあ「あんな事やこんな事」って?」

「バイト仲間たちでキャンプしたり海水浴とかだよ」

「……ずいぶん楽しんでいるみたいだね」

 キャンプって言ってもアレだぞ。

 迷彩服を着て数十キロの装備弾薬を背負い、小銃だけでなく軽機関銃や無反動砲を担いで5日間も山の中を歩き回るんだぞ。全行程を通して睡眠時間は4時間にも満たないし、食料は缶詰1個だけ。

 その山地機動訓練キャンプ中は移動、偵察、襲撃、離脱の繰り返し。事前に説明された訓練内容が突然変更されることもあれば、状況終了直前に新たな任務が付与されることもある。それどころか内容も期間も説明されずに訓練地域に投入されることだってある。

 現役高校生が山地機動訓練を受けているだなんてゴリゴリの国家機密だ。

 だから『キャンプ』というほのぼのとした単語で説明したが、間違ってもゆるゆるなキャンプではない。

 テントどころか寝袋もない。

 焚火もなければカップラーメンもない。

 いつどこから敵襲を受けるか分からない状況ではそのような悠長なことはできないのだ。

 それでも俺たちのキャンプが楽しそうと思うなら舞香も連れて行ってやろうか。

 きっと背嚢を背負って立ち上がることすら無理だろう。

「そもそもバイト仲間で遊んだだけだ。2人きりで遊ぶ相手って舞香だけだぞ」

 それか姉ちゃんかのどちらかだ。

 むしろ姉ちゃんのほうが多いけどな。

 だけど俺は正直に打ち明けるほどバカではない。

 ちょっとした嘘でヤンデレ事件を回避できるのであれば安いものだ。

「……本当?」

 どうやら2人だけという特別感に心を惹かれたようだ。

「……私、宗太郎が通っていた通学路を見てみたい」

「掩体壕の跡地か?」

「……うん、2人だけで行ってみたい」

「そうか。それならば冬休みにでも行ってみるか」

「えへへ……」

 次のデート先が決まったことで舞香は機嫌が治ったようだ。

 それにしてもデートで掩体壕の跡地を見に行きたいなんてなかなか渋いチョイスだな。

 しかしそれは日向市の歴史を残している遺跡のひとつだ。舞香がそれを望むのであれば、俺は恋人として、そして日向市民として熱烈に歓迎しなければならない。何も日向市の戦争遺跡は掩体壕だけではない。近くの大きな総合病院の敷地内には滑走路の一部や爆撃で空いた穴がそのままの状態で残されて、『神風特別攻撃隊出撃之地』という石碑が建立されている。さらに住宅街の中にある『しらさぎ公園』という小さな公園には富高海軍航空隊跡地として展示施設が立てられており、海上自衛隊が過去に運用していた練習機のプロペラが展示されている。

 この3つだけでは1日は潰れないな。

 それならば小倉ヶ浜おくらがはまにも行くとしよう。これはあまり地元の人に知られていないが小倉ヶ浜の砂浜は急降下爆撃の訓練で使われていた。

 旧飛行場の跡地を見学して周るということもあってそこそこの距離を歩かなければならない。しかし最後に小倉ヶ浜に行くことで心身ともにリフレッシュすることができるだろう。小倉ヶ浜はサーフィンの聖地としても有名だ。どうやら全国でもトップクラスに良い波が発生する海岸として有名らしい。海に入らなくてもその波の音は疲れた俺たちの心身を癒してくれることだろう。

 それ以上に小倉ヶ浜は有名なものがある。

 サーフィンなんて比べものにならない。

 なんと海上自衛隊の第1輸送隊が揚陸訓練をしているのだ。

 第1輸送隊に配備されているのはおおすみ型輸送艦。この輸送艦の後部ウェルドッグから発進したLCACエルキャック、いわゆる輸送用ホバークラフトが砂浜に上陸する。そして戦闘隊を揚陸させたり、被災者を収容したりする訓練をしているのだ。

 もちろん毎日訓練をやっているわけではない。しかし運が良ければ見ることができるかもしれない。轟音を立てて砂を巻き上げながら上陸してくるLCAC。その大迫力のビーチング訓練を舞香にも見せてやりたい。

 次のデートの予定を考えているとクラスの列が動き始めた。

 舞香が横に置いていたキャリーバッグを引いて前進する。

 さて、デートは冬休み頃だろうな。

 事前に予定をすり合わせておかなければならない。

 足元に置いていたダッフルバッグを担ぐと俺は舞香の後を追った。


 宮崎空港を離陸した旅客機は何事もなく大阪府の伊丹空港に着陸し、家鴨ヶ丘高校の修学旅行生一行は貸し切りバスに乗り換えて岐阜県へと向かっていた。

 強いて問題があったとすれば宮崎空港で手荷物検査を待っていた俺たちのところに郁美が乱入したくらいのものだった。奴のおかげで俺に対するクラスメイトからの印象はがらりと変わった。

 修羅場を期待する男子たち。

 浮気を疑って軽蔑する女子たち。

 まぁそんなことはヤンデレ事件に発展することに比べたら些細な問題だ。

 それに次のデートが決まって舞香は楽しそうだったし。

 俺がするべきことは今度のデートで舞香を楽しませること。それとクラスメイトからの印象を回復させること。ついでに宮崎に帰ったら郁美に苦情のひとつでも入れておこう。

 ふと隣に座る舞香に視線を送った。

 彼女は片手で俺の手を握り、もう片方の手でエチケット袋を持っていた。そしてぐったりとしながらニヤけている。そんなに俺の隣が嬉しいのか。

 それにしても舞香って乗り物が苦手なんだな。

 エアポケットに突入した飛行機が激しく揺れるたびに普段からは想像できないような悲鳴を上げていたし、わざわざチケットを交換してまで窓側の席を避けていた。そのおかげで俺は外の景色を楽しめたんだけどな。

 やっぱり高い場所は最高だぜ!

「舞香、大丈夫か?」

「……うん」

「さっさと吐いたほうが楽になるぞ」

「……私、誰も殺していないもん」

「……実は楽しんでるだろ」

 乗り物酔いしている彼女を心配していたが、文章だけを聞くと事情聴取する刑事と容疑者みたいじゃないか。

 そもそも殺していないと言っているけど、夏の初めに俺を殺したじゃないか。それに数時間前の宮崎空港でも勘違いでヤンデレ化して俺を殺そうとしていたし。

「別に俺は逃げないから少し寝たらどうだ?」

 眠れる時に眠っておく。

 これは作戦行動に限らず日常生活でも重要な事だ。

「バスのエンジン音が気になるなら好きな音楽でも聴いてさ」

「……うん」

 ぐったりとした動作で舞香はポケットから白い音楽プレイヤーを取り出すと、イヤホンを耳に突っ込んだ。

 アパラチアン序曲、吹奏楽の為の――

 舞香は素早いホイール操作で曲を選択して画面を消灯させた。

 それとなく彼女の趣味を把握しておこうと覗き込んだがそれすらできない素早い操作だった。一瞬で状況を確認するための訓練を受けている俺でさえ曲名の全てを記憶することはできなかった。

 舞香は俺の様子に気付くことなく座席に体を預けて睡眠に入ろうとしていた。

 さっきの彼女の端末操作はまるで画面を見られたくないかのような動作だった。しかし彼女はそんな恥ずかしがる素振りは見せずに眠りに入ろうとしていた。

 たしかに電子機器の中には見られたくないものも入っているだろうしさ。

 俺だって携帯の写真フォルダを舞香には見られたくない。だって携帯の中には姉ちゃんの写真が大量に入っているからな。アレを見られたら舞香にシスコンだと勘違いされてしまう。

 いや、見られたくないというか見られたらまずい。

 もしも見られたら俺は舞香に殺されるだろう。

 舞香のことだからそういう写真ではないかもしれないが、いくら恋人だとしても俺に秘密にしておきたいことがあるのだろう。

 ………………。

 それにしても舞香が眠ってしまったら暇になったな。

 俺もひと眠りしておくか。

 ヘッドレストに頭を預けて目を閉じる。

 こうやって観光バスに揺られるなんていつぶりだろうか。

 あれはたしか高校3年の夏。吹奏楽コンクールの県大会のときだ。

 上位大会どころか前年よりも良い成績は諦めつつも緊張に包まれた車内。

 そして予想はしていたものの現実を突きつけられて落胆した帰りのバス。

 あの独特な雰囲気の車内は今でも忘れることはできない。

 青春が終わってしまって泣き腫らした同級生の表情。

 それに戸惑う後輩たち。

 彼女たちを見ていて俺は二度と楽器を手にしないと決意した。

 それは後悔なのか罪悪感なのか。

 俺がもっと上手ければ、もしくは俺がいなければまた違った結果になったかもしれない。

 いつものメンバーで観光バスに乗ってどこかに行く。

 すっかり忘れていた感覚だ。

 全員でコンクールに臨み、コンクールから帰ってくる。あの独特な空気は二度と味わうことはできない。もう戻ることのできない過去に思いを馳せて目を閉じる。

 静かに響くバスのエンジン音。

 すれ違う車の風切り音。

 乗客たちのざわめき。

 過去に思いを馳せて今の状況を過去に重ねる。

 どこかからジェットエンジンの音が聞こえてくる。

 中学3年の最後のコンクール。

 対領空侵犯措置として緊急発進スクランブルしたと思われる新田原基地のF15戦闘機を観光バスの中から眺めていたっけな。コンクールに臨む緊張感もどこかに忘れ、左にバンクしながら上昇していく2機のF15に夢中になっていたものだ。

 ………………。

 違う。

 F15じゃない。

 音で分かる。

 F2だ。

 俺は飛び起きるとバスの窓に張り付いて周囲を見回す。その動作はまるで空中戦ドッグファイトで敵機を捜索する戦闘機パイロットのようだった。

「!」

 その光景に驚いて舞香の耳からイヤホンを引きちぎった。

「舞香! あれ! あれを見ろ!」

「……いいところだったんだけど」

 あれを目前にして音楽を聴いている場合じゃない。

 俺は興奮気味に舞香を叩き起こしていたが、後ろから苦情が飛んできた。

 それはクラスのボス的な存在である高田だった。

「宗太郎、うるさい!」

「あれを見て落ち着いていられるか!」

 俺は外を指さした。

「F2戦闘機じゃん。たしかに宮崎じゃ滅多に見られないけど」

「よく見ろ! 飛行開発実験団飛実団の102号機だぞ!」

 飛行開発実験団とはその名の通り、航空自衛隊の装備品の開発や試験を実施している部隊だ。ちなみにこの部隊が配置されている岐阜基地は岐阜県が誇る唯一の観光名所でもある。

「量産型のF2は機体上面に濃淡の青色、下部に水色の洋上迷彩を施している。だけどあのF2は機体下部が白いだろう。あれは武装投下試験の状況をカメラで撮影しやすくするためにあえて白く塗装しているんだ。さらにマニアックな話をすれば武装投下の分離特性を分析しやすいように専用のマーキングが施されている」

「え、マジ!? 試作4号機の!?」

「その102号機だ!」

 高田はその話に食いついて来た。

 F2の102号機と聞いて試作4号機の単語が出てくるだなんて。

 先日の文化祭で発生したヤンデレ事件で俺が対処したヤンデレが高田だった。あの事件で彼女の凶器として出現したのがフランス軍に制式採用されている小銃、FAMASだった。

 ヤンデレ事件でアサルトライフルが出現することは珍しいことではない。しかしほとんどの事例がM4やAK47といった有名な小銃ばかり。高田の凶器として出現したFAMASはマニアックとまでは言わないが、ある程度ミリタリーの知識がある人でないと知らない小銃だ。ましてやSTANAGマガジンが使用できるG2モデルだった。

 高田は俺と同じ穴の狢なのかもしれない。

「このあと博物館に行くじゃん」

「かがみはら航空宇宙博物館だろ?」

「もし良かったら私たちと一緒に周らない?」

「デートのお誘いか?」

 俺は大歓迎だ。

 しかし何が不満だったのだろう。高田は顔を引きつらせている。

 そして隣の舞香は俺の手に爪を立てていた。

「そうじゃなくて、宗太郎にガイドして貰うの」

「別にいいけど、民間機とか人工衛星は専門外だぞ」

 軍用機であればいくらでも説明してやる。

 それと舞香。

 そろそろ俺の皮膚が破れるからやめてくれ。

 俺の腕がピンチな事に気付いたのか、高田は舞香にも提案した。

「もちろん舞香ちゃんも一緒にさ」

「……え?」

 舞香にとってその提案は思いもよらなかったのだろう。

 彼女の口から飛び出したのは素っ頓狂な声だった。

「だってせっかくの修学旅行で宗太郎を取り上げたら、私たちが悪者みたいじゃない。もしも宗太郎と二人っきりで周りたいんだったら私たちは諦めるから」

「………………」

 舞香は即答することはなかった。

 いや俺には分かる。

 舞香は迷っているのではなく照れている。普段の彼女はいつも一人でいることのほうが多い。同じ吹奏楽部の部員と教室で話していることもあるが、それはどちらかというと業務連絡のほうが大きい。

 部活も性格も正反対な高田に誘われるなんて想定していなかったのだろう。そして初めての提案に喜びながらも戸惑っているのだろう。

 仕方ない。

 ここは俺が助け舟を出そう。

「……舞香、せっかくだからみんなで動くか?」

「……そうする」

「……そっか」


 貸し切りバスは予定通りに『かがみはら航空宇宙博物館』に到着。

 バスを降りた生徒たちは整列と点呼を受け、学年主任から注意事項や集合時間を聞いたのちにそれぞれのグループに分かれて館内へと入って行った。

 そして俺は重大な任務を背負っている。

「これがF104J戦闘機。通称、マルヨン。航空自衛隊向けにF104を改良した機体だ。例えば地元の新田原にゅうたばる基地では1964年3月に第202飛行隊が第5航空団隷下の戦闘機部隊として新編されてマルヨンの運用が開始された。ちなみにこの第202飛行隊はマルヨンを日本で2番目に運用を始めた部隊だ。ただ最初に配備された第201飛行隊は機種転換訓練を任務としていたため、第202飛行隊はマルヨンを使用したスクランブル任務を開始した部隊なんだ」

「……スクランブル?」

 高田の取り巻きのひとりがそう呟いた。

 おいおいおい。

 スクランブルも分からないのか。

 こいつは学校で何を学んでいるんだ?

「スクランブルとは領空侵犯機に対して戦闘機を緊急発進させることだ」

「あー、はいはい。勝手に領空に入ってきた飛行機を追い返すことでしょ?」

 首を傾げていた取り巻きは納得したようだ。

 ふふふ。

 お子様だな。

「言っておくが日本の領空は海岸線から12海里の範囲だ。しかしここでいう領空侵犯とはその12海里圏内に侵入することじゃない。対領空侵犯措置の根拠法となっている自衛隊法第84条には「わが国の領域の上空に侵入」と書かれているが、ここでいう領域の上空とは領空じゃなくて防空識別圏のことを指している」

「EEZってやつ?」

ADIZエイディズだ」

 義務教育からやり直せ。

 ちなみに日本の防空識別圏は1945年にGHQが指定した空域をそのまま使っている。

「よく領空侵犯機として撮影されているロシアのツポレフ95戦略爆撃機の最大速力は時速925キロ。この速度であれば領空侵入から1分25秒で日本本土に到達する。領空に侵入されてから戦闘機にスクランブルさせても、離陸するまえに本土上空に到達されてしまうわけだ。だから領空の外側に防空識別圏を設定し、申告のない航空機がこの空域に侵入した時点で要撃機インターセプターを発進させるんだ」

 領空の遥か遠くで国籍不明機に接触すれば領空に侵入される前に警告や進路変更を求めることができる。それに写真撮影による情報収集の時間的余裕もできる。仮に戦闘状態に陥ったとしても機関砲弾や機体の残骸が地上に落下することもない。

 俺はガイドとして堂々と仕事をこなしていた。

 趣味の分野でもあるから自然と説明に熱が入る。

 周囲の取り巻きたちはその説明に混乱していた。おいおい、この内容であれば基礎中の基礎だぞ。このレベルで理解ができないのであれば、戦闘機のスクランブル任務どころか要撃管制も高射運用もできないぞ。

 しかし同じ穴の狢であるはずの高田はやや引いている様子だ。

「宗太郎……アンタ数学苦手じゃなかった?」

「突然どうしたんだ?」

 たしかに前回の定期試験では赤点だったけどさ。

「時速925キロで到着まで何分って即答したじゃん」

「1海里は1・852キロ。だから12海里で約22,000メートル。時速925キロを換算すると秒速約257メートル。距離を速度で割れば85秒、つまり1分25秒で到達だ」

「よく単位換算とかできるよね」

 別に大したことじゃない。

 このくらい暗算で計算できなければ山地機動任務は不可能だ。

 たとえば任務終了後にヘリで作戦地域を離脱するとしよう。もしもヘリの到着が早ければ撃墜の危険が高まる。かといって到着が遅ければ地上部隊が敵の追撃に晒される。別にピッタリ予測しろとは言わないけども、航空部隊も地上部隊も残りの距離をどの速度で移動すればいつ到着するのかを常に把握しておかなければならない。

 賞賛する高田に謙遜する俺だったが、それが気に食わなかったらしい。

 隣にいた舞香がそっと俺の袖を掴むと言葉でチクリと刺しやがった。

「宗太郎って二次関数はできないのにね」

「二次関数ってなんだ?」

 そんな大学で習うようなことを高校生に求めるんじゃない。

「期末試験の出題範囲なんだけど」

「……マジ?」

 俺の高校ってそんなハイレベルな事をやっていたのか?

 きっと同じ日向市内の自称進学校の連中もビビるだろうな。

 というか期末試験で出題されるだって?

 そんなこと聞いていないぞ。

 名前からして一次関数を発展させたものが二次関数だろう。一次と二次は現実世界でいうところの二次元と三次元の関係に似ているに違いない。

 それならば残りの関数とは何のことなんだ?

「舞香、関数ってなんだ?」

「変数の値を表す写像のこと」

「……写像ってなんすか?」

「……だめだこりゃ」

 舞香は呆れて教えてくれなかった。

 だけど期末試験はかなり先だからそのうち勉強すればいいだろう。

「話は逸れたけど、その後はF4EJ戦闘機やF15J戦闘機の配備が進みマルヨンは徐々に退役し、1986年の第207飛行隊解隊によって実戦部隊から完全退役した。第202飛行隊では1982年に機種更新によって退役していたな」

「宗太郎、たしかこれって米空軍のF15イーグルを撃墜した機種だよね?」

「そうそう。マルヨンを語るうえで外せないのはそれだ」

 俺としたことが危うくそれを説明しそびれるところだった。

「日米共同訓練で空自は旧式のマルヨンで当時最新鋭のイーグルと模擬戦をしたんだ。当然エンジン出力も運動性能もイーグルの方がはるかに優秀だった。しかしレーダーの反射面積の狭さではマルヨンの方が優れていた。今の時代で説明するとステルス性が高かったんだ。2機の自衛隊機はギリギリまで接近した編隊飛行で接敵。2機の米軍機は当然レーダーでこれを捕捉したが敵機は1機だけと誤認し、攻撃と索敵に分かれて戦闘を始めた。旧式機であれば単独で撃墜できると考えたんだろう。しかしイーグルは単独で2機のマルヨンに攻撃を仕掛けてしまった。マルヨンの背後を取ろうと必死になっているイーグルは死角からもう片方のマルヨンに接近されて撃墜判定となった。囮で釣って死角から襲撃するというのは基本的な戦術だが、機体の性能を知り尽くしていたパイロットの技術による撃墜だな」

 ちなみにイーグルは撃墜許可申請キルコールが出されるまで接近に気付かなかったそうだ。もちろん日本のマルヨンが米空軍のイーグルに全勝していたわけじゃない。しかし装備の性能を過信することなく基本を徹底する。これは空だけじゃなく陸上や海上での戦闘にも通用する教訓だろう。

 歴史は繰り返す。

 過去から何も学習しないのはただのバカだ。

 高田はうんうんと頷いている。

 しかし取り巻きたちはピンと来ていないようだ。

 しかたない。

 もっと分かりやすく説明してやるか。

「簡単に言うといつも県予選で初戦敗退しているうちのバレーアンタたちがインターハイ優勝校に圧勝するようなものだ」

「宗太郎、殺されたいの?」

 高田の額には青筋が立っていた。

 殺れるものなら殺ってみろよ。

 この前のヤンデレ事件じゃ俺は殺されなかったぞ。

「それにしても宗太郎、よく自衛隊法の何条に何が書かれているってよく覚えているね」

「84条の事か?」

 おいおいおい。

 アンタ本当にミリオタか?

 自衛隊法第84条は対領空侵犯措置を語るうえで外せない法律だぞ。それにこの84条ってかなり長いからな。対領空侵犯措置に始まって、後ろには機雷除去とか海外での日本人や外国人の救出活動についてもろもろ書かれているんだぞ。

「もしかして他のも即答できるの?」

「人事関係はあまり詳しくないけどな」

「じゃあ76条」

 高田はニヤつきながら暗唱を求めてきた。

 まるでテスト前に友達同士で問題を出し合うようだ。

 おいおい。

 そんな簡単な条文でいいのか?

 枕草子を暗唱するよりも簡単だぞ。

「内閣総理大臣は、次に掲げる事態に際して、我が国を防衛するため必要があると認める場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命じることができる。この場合においては武力攻撃事態等及び存続危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律第9条の定めるところにより、国会の承認を得なければならない」

「次に掲げる事態とは?」

「1、我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態又は我が国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態。2、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」

 どうやら高田は俺が躓くことを期待していたようだ。

 しかしこの程度では俺は間違えない。

 出題者と回答者の勝負に敗れた高田だったが、俺を褒めるとして負け惜しみを言ってきた。

「宗太郎、将来弁護士になったら?」

「これが暗唱できたぐらいで司法試験に受かるかよ。それに76条なんて枕草子を暗記するより簡単だ」

「じゃあ枕草子の冬を暗唱してよ」

「全部は無理だ」

 あんなものを一言一句暗記している奴が日本にいるわけがない。

 いるとしたら無駄な事に時間を浪費する愚か者だろう。

「あらすじでいいから」

「……火桶が白い灰になってワロタ」

「……わろし、だよ」

 呆れるように舞香が呟いた。

「わろしもワロタも似たような意味だろ」

「全然違うよ」

「紫式部も意外と爆笑していたかもしれないぞ」

「枕草子を書いたのは清少納言なんだけど」

 知るか。

 そんな過去の話が何の役に立つんだ。


 展示物を眺めながら航空宇宙博物館を巡回する。

 十二試艦上戦闘機に三式戦闘機の『飛燕』。ゼロ戦の黒くて太いカウルや涙滴型風防も美しいが、この『飛燕』の先細りした機首やファストバック方式キャノピーも美しい。ただあまりにも操縦席から機首までが遠くて前方視界はあまり良くなかったらしいけどな。

 戦闘機の形状とはどこかの勘違いしたデザイナーが考えたものではない。航空技師がありったけの技術を注ぎ込み、要求されている性能を満たすために頭を捻らせて生み出されたものだ。苦悩は絶妙にカーブした機体外板の1枚やリベットの1本から当時の航空技師たちの苦悩がうかがえる。まさに機能美というものだ。

 OH‐1ニンジャのモックアップやT2との別れを惜しみながらも俺は観覧客を引率して外に出た。

 館内は修学旅行生で賑わっていたが、屋外も多くの観覧客に航空機が囲まれていた。

 P2‐J対潜哨戒機

 US‐1A救難飛行艇

 YS‐11中型輸送機

 それらの大型機体に並んでひときわ注目を集めている機体があった。

 白、オレンジ、黒の三色に塗装され、側面には『陸上自衛隊』と記されたタンデムローター式の中型ヘリコプター。

「このヘリコ――」

「私これ知ってる!」

 高田を遮ったのは舞香だった。

 まさか彼女がこんなに大きな声を出すだなんて。

 そんな姿を見るのは初めてだったが俺は舞香と長い付き合いだ。

 俺と高田が趣味の話で盛り上がっていた事に嫉妬したのだろう。そしてその話題が続きそうになったところにギリギリ知っている話題で割り込んできたのだ。

 こんな事で嫉妬するなんて可愛いやつだな。

 付き合いの長い俺はこの先に彼女が何を言うか簡単に予想できた。

 顔がニヤけて仕方ない。

 しかし舞香は俺の憐れみに気付かない。

 彼女は自信満々に言い切った。

「先週の日曜日に飛んでいるのを見た!」

「ほう、先週の日曜日にねぇ?」

 にやにや。

 笑みが止まらない。

 俺の内心にも気づかずに舞香はドヤ顔を披露している。

 いや~。

 先週の日曜日にねぇ?

 にやにや。

「宗太郎、気持ち悪い」

「舞香、この機体はもう日本を飛んでないぞ」

「本当に飛んでたもん! 嘘じゃないもん!」

 まるで森に住む精霊を目撃したと主張している幼児のようだ。

 確かに巨大なプロペラが前後に2つ装備されたタンデムヘリコプターの異様な容貌を見間違える人はいないだろう。

 しかし舞香が見たと言っている機体は確実にこの機種ではない。

 退役したヘリコプターが空を飛んでいたらファンの間で大騒ぎになるはずだ。

「舞香が見たっていうのはCH‐47J。もしくはCH‐47JAだろう」

「J? JA?」

 機首の形式で戸惑っているようだ。

 宮崎県で飛行しているこのヘリコプターを見られるとすれば、陸自の西部方面ヘリコプター隊第3飛行隊のCH‐47JA。もしくは空自の春日ヘリコプター空輸隊のCH‐47Jのどちらかだろう。もちろん管轄外の基地から輸送任務で飛んできていないとすればの話だけど。さらに突っ込んだ話をすると同じCH‐47Jでも陸自と空自で装備が違うからな。

 おっと忘れるところだった。

 沖縄県の普天間基地に展開しているアメリカ海兵隊の第36海兵航空群がCH‐46を運用していたな。しかし航続距離から言えば沖縄県内の基地間輸送だけでの飛行だろう。沖縄県外で最も近い米軍基地は長崎の佐世保だけども直線距離で約800キロもある。CH‐46の航続距離では半分にも届かない。

 舞香はまだ混乱しているようだけども俺の説明は止まらない。

「ここに展示されているのはKV‐107ⅡA4。米海兵隊の名称で呼ぶとCH‐46だ」

「たった1しか違わないじゃん」

「何を言っているんだ! 46と47だぞ! CH‐47は陸上で運用することを想定しているから機体重量も輸送兵員数も2倍近い。その反対にCH‐46は強襲揚陸艦で運用することを前提に設計されているからコンパクトになっている」

 数字はひとつしか違わないけども旧型機と新型機というわけではない。全く違う設計思想に基づいて開発された機体だ。

 もともとこの機体はアメリカ陸軍に納入する予定で開発が始まった。航空機メーカーは試作機を作ったが米陸軍は「輸送ヘリとしては小さい」としてより大型のCH‐47の開発を依頼した。ちょうどそのころ強襲揚陸艦で運用しやすい手ごろなサイズの輸送ヘリを探していた米海兵隊がボツになった試作機に目をつけてCH‐46の開発が始まったというわけだ。

「まずCH‐46。愛称はシーナイトで自衛隊にはKV‐107Ⅱの名称で採用されていた。海上自衛隊の第111航空隊が1974年に運用を開始した。ちなみにその部隊は海上自衛隊唯一の航空掃海部隊だ。そしてラストフライトは入間基地の航空祭。航空自衛隊の浜松救難隊が最後の運用部隊だった」

 タンデムローターと聞くと輸送機としての採用と思われるが、自衛隊は航空掃海のために運用することを想定していた。もともと運用していた対潜哨戒ヘリや救難ヘリを転用することを検討して実験していたが、エンジン出力や積載能力に不満があるということで新たにKV‐107を導入した。だから最初にこの機体を導入したのは海上自衛隊だったわけだ。それに当時は全通甲板式の輸送艦は就役していなかったから輸送機として運用しても着艦できる艦はなかったしな。

「ちなみに宮崎の新田原救難隊では1999年がラストフライトだった。余談だけど俺はそこのKV‐107に乗ったことがあるぞ」

「え、いつ? どこで?」

「産まれて30分後」

「なんで?」

「仮死状態で生まれたからヘリに乗せられて大学病院に搬送されたんだよ」

 俺はいわゆる新生児仮死といわれる状態で生まれてきた。大きくなって聞いた話では俺より先にへその緒が出てしまって血行が止まってしまう『臍帯離脱』という状況だったらしい。

 地元の産婦人科では対応できないと判断されて宮崎大学医学部付属病院に搬送されることになったけども救急車では時間がかかりすぎる。一刻を争う状況下で宮崎県知事から自衛隊に災害派遣要請が出され、新田原救難隊がKV‐107で俺の元に飛来した。

 奇跡的に後遺症は残らなかったが、もしもあの時、県知事の災害派遣要請や新田原救難隊の到着が遅れていたら俺は後遺症が残るどころか生きていなかったかもしれない。

「それって乗ったうちにはいる?」

「VIP待遇だろ」

 俺だけのために救難隊が動いたんだ。

 しかもこの状況に備えて常に自衛隊は訓練しているんだぞ。

 ありがたいことこの上ない。

「それで舞香が先週見たというのがCH‐47。愛称はチヌーク」

「スネーク?」

「チヌークな?」

 あんなクソやかましい蛇がいてたまるか。

「自衛隊のチヌークの諸元性能は米軍のCH‐47Dに準ずる。胴体の全長は15・5メートル、横幅は3・8メートル。重量は約10トンに、巡航速度も最大速度も約300キロ」

「……宗太郎、それ全部暗記しているの?」

「もちろんだ」

 機体サイズが分からなければ距離を推測できないじゃないか。

 戦場ではたったひとつの知識の有無が生死を分けることもある。体力や技術の錬成だけでなく座学による装備の諸元性能の記憶も大事だ。

「宗太郎って数学の公式とかは暗記できないのにね」

「そんなものを覚えても何の役に立たないだろ」

「……数学のテストはどうするのよ」

「なんとでもなるだろ」

 顧問に怒られて補習に参加すれば済む話だ。

 それに追試の問題は使いまわしだから答えを覚えてしまえばいい。

 話はそれたが俺はCH‐47JAにも乗ったことがある。

 別に患者として緊急搬送で乗ったわけじゃない。ただ普通にファストロープ降下やエキストラクションロープ離脱の訓練に参加しただけだ。おっと、洋上潜入訓練のためのヘリキャスティングでも乗ったな。

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