第4想定 第5話

 荒れているのは海だけでなく空も同じだった。

 上下左右に激しく揺れるヘリコプターの中で俺たちは潜水活動の準備を行っている。機体下部に設置されたヘリテレシステムを用いて転覆船の様子を確認し、潜水活動が可能であると姉ちゃんが判断したのだ。

『巡視船『きりしま』よりSST。転覆船の船底を叩いているが反応がない』

 現場では日向海上保安署に所属している巡視船『きりしま』と巡視艇『ほこかぜ』が活動している。どうでもいい事だけど巡視船『きりしま』で船長を務めているのは俺の父親だ。

 船底を叩いても反応がないという事は遭難者が船底付近にはいないということだ。もしも反応があれば持ってきたエンジンカッターとスプレッダーで穴を空けて救出することができた。しかし付近にいることが確認できないのであれば下手に穴を空けることはできない。浮力を喪失して沈没してしまう。

「こちら『むくどり』。現着まで残り3分」

 これでは予定通り潜水して救出する必要があるだろう。

 ちなみに今回の潜水活動で俺は姉ちゃんとバディを組むことになった。今回のメンバーで最も練度が高いのが姉ちゃんだから新人の俺と組むことになったのだ。

 空気ボンベにレギュレーターを接続し、バルブを開いて使用可能状態に整える。

「ありさ、隊員はどうする?」

「スライドリペリングはできますか」

「問題ない。俺が操縦を代わる」

「じゃあスライドリペリングで宗太郎を『きりしま』に降ろします。他の3人は直接海に飛び降ります」

 まさかの指名だった。

 しかし怯えている場合ではない。

 機体を誘導する浦上さんがドアを開けて、ホイストフックにリペリングロープを接続している。

「宗太郎、できるよね?」

「もちろんだ」

 スライドリペリングというのはヘリコプターが前進しながら隊員がリペリング降下をするという降下方法だ。通常のリペリング降下ではヘリコプターがホバリングで制止した状況で降下するが、スライドリペリングでは迅速に降下して活動が可能となる。しかし機体が動いているために難易度も高くなる。

 だけど俺はこの状況のために訓練を繰り返してきたんだ。

「『きりしま』に降下したら救助された乗組員から情報を聞き出してきて。判断は全部任せるから」

「分かった」

 俺はリペリングロープを収納した袋を腰のハーネスに接続しながら指示を受ける。

「『むくどり』より巡視船『きりしま』。前甲板に隊員を降ろしたい」

『『きりしま』了解。準備ができたら連絡する』

 ロープから迅速に離脱することができるM2スライダーにロープを通し、機内での準備が全て完了した。あとは巡視船からの連絡を待つだけだったが、その無線はすぐに返ってきた。

『巡視船『きりしま』より『むくどり』。隊員の受け入れ準備が完了した』

「『むくどり』了解。60秒後に到着する」

「アイハブコントロール」

「ユーハブコントロール」

 副操縦士の若宮さんから機長の小川さんへと操縦桿が移った。そして小川さんは俺と高橋さんに指示を出した。

「降下用意」

「救助員、外へ」

 高橋さんの指示のもと、俺は機体の外に振り出した。そして事故防止のために付けていた安全索を切り離す。

 体を支えているのは機体を踏んでいる爪先とロープを握る両手のみ。入隊したばかりの頃はあまりの高さに恐怖していたものだが今となっては何てこともない。悪天候で機体が揺らされるが、小川さんが操縦桿を握っているせいか安定しているように感じる。

「ロープ良し、降下器良し、降下地点良し、安全索解除良し。降下準備良し!」

 俺は高橋さんにサムズアップのサインを送る。

「降下始め」

 機長の許可が下りた。

「降下!」

 高橋さんの号令で俺は降下を開始。ヘリコプターの機体を蹴って握力を緩めた。シュルシュルと視界の端をロープが流れていく。小さく見えていた遠くの巡視船がみるみるうちに大きくなっていく。障害物となる機関砲のシルエットがはっきりと見える。

 まるで空母に着艦する艦載機かのようにドスンと甲板に着陸した。

 すぐにM2スライダーを操作してロープから離脱。ハーネスからロープの袋を外して「離脱良し」の合図を機上の高橋さんに送った。ロープは切断されて近くの海上に投棄された。

 さて、これから――

「あんちゃん、頼むよおぉぉ!」

 遭難者から情報を聞き出そうと振り返ると相手から掴み掛かられた。

 いかついオッサンだった。

「アンタ潜水士だろ!? 船長を助けてくれよ!」

「矢部さん、落ち着いて!」

 上司の救助を求めて荒ぶる遭難者を他の遭難者が数人がかりで押さえつける。しかしあっさりと仲間を振り払ってしまった。

 彼の腕力はなかなかの物のようだ。この救助活動が終わったら腕相撲でもやってみたいものだ。腕をへし折ってやる。

「船長のところには幼稚園児の孫がいるんだ! 小学校に上がるところを見たいっていつも言っていたんだ!」

 俺だって人間の心を持ち合わせている。

 そんな話を聞いて何も思わないわけがない。

 だけど断言するわけにはいかなかった。

「俺は船長を助けるためにやってきました。だけど船長の無事は保証できません」

「船長を孫に会わせてやってくれよおぉぉぉ!」

「助けに行きますが、無事かどうかは潜ってみるまでは分かりません」

 酷な話ではあるが下手に約束するわけにはいかない。むやみに約束をしてダメだったときよりかはマシだろう。

 彼は俺が絶対に約束してくれると思っていたのだろうか。

 甲板に膝をつき、力なく俺にすがっている。

 他の遭難者が俺から彼を引きはがしてくれた。

 さて、有用な情報は得られそうにないし早く潜水活動を始めよう。

 俺はしゃがみこんで足にフィンを、顔にマスクを装着した。

「宗太郎!」

 突然、俺の名前が呼ばれた。

 知っている声だ。

 俺は振り返り、船橋横のウイングを見上げた。

「なんだ?」

「気を付けろよ!」

 それは父親だった。

 部下に威厳を見せるかのように大声で叫んでいた。

 ……まぁ仕事では巡視船の船長だからな。

 家庭では威厳なんてものは無いってことは秘密にしておいてやる。

 パンツ1丁でうろついてゴロゴロして、母ちゃんが横須賀基地から帰ってくるたびに正座で説教されているって事をな。

 俺は空気ボンベから口元に伸びているセカンドステージのボタンを押し、正常にエアーが出ることを確認して口にはめ込んだ。

「海面ヨ~シ」

 着水する海面を指差し確認。

 しかし海に飛び込むことはなく、気が変わって口から装置を取り外した。

「矢部さん、って言いましたっけ?」

「おう、俺は矢部だ」

「頼み事をしてもいいですか?」

「分かった! 俺にできることは何だってやってやる!」

 彼ならばそう言うと思っていた。

 こんなに熱血な――いや、むさ苦しい男ならこの時期の海に浸かっていても凍死することはないだろうな。

 そのような事を考えながらも近くの海上保安官に聞こえるように大声で依頼した。

「俺が浮上したらすぐに船長の家族に連絡してください。そしてすぐに千歳病院に向かわせてください」

「もちろんだ! 泳いで戻ってでも伝えてやる!」

「……仕事は増やさないでくださいよ」

 あんちゃん、頼んだぞ!

 その声援を背後に俺は海面へと飛び込んだ。

 潜ってみるまでは要救助者が無事かどうかなんて分からない。だけど結果がどうであれ一刻も早く家族に会わせてやりたかった。


 フィンで海水を蹴って他の隊員の元に急行した。

「宗太郎、なにか情報を聞き出せた?」

「特に目ぼしいものはなかった」

「本当に何も?」

「船長のところには幼稚園児の孫がいるらしい。小学校に入学するところを見たいって何度も言っていたってさ」

「じゃあ何としても孫に会わせてあげないとね」

 姉ちゃんは軽い口調でそう言うと、すぐさま指揮官の表情へと切り替わった。

「これより潜水救助活動を実施する。該船は沈没の可能性がある。要救助者が見つからなくても絶対に15分以内に脱出して」

 その厳命を受けた隊員たちは一斉に潜水。

 脱出の時の目印となるロープを伸ばしつつ、船橋から転覆船内へと進入。それぞれのバディに分かれて担当区域の捜索を開始した。

 船内は暗い。

 ライトの光だけが捜索の頼りだった。

 完全に浸水している船内はロープや網などの漁具が散乱している。俺たちはそれを避けながら捜索を続ける。どうしても除去できないものはナイフで切り裂いた。

 廊下を突破した先は雑貨類が散乱していた。どうやら船員室のようだ。布団や毛布が揺らめいている。乗組員が脱出したことを確認していたのであれば当然ここを通過しているはずだが要救助者の姿はない。

 階段を通過して別のフロアに移動する。俺たちは上昇していたが船は転覆しているから船底部に移動していることになる。頭の上ではドス黒いものが浮いている。エンジンから漏れた重油だ。誤ってこれを飲み込んでしまったら要救助者どころか俺まで病院送りになってしまう。

 このような環境でバディブリージングをすることだけは勘弁だったが、俺は同じ失敗を繰り返すような男ではない。前回の訓練後の反省会でさらに練度は上がった。今回はきちんとリザーブタンクを閉鎖したあとにメインタンクへ空気を充填している。

 船底の機関室を潜水したまま泳いで行くと何か違和感を覚えた。姉ちゃんにサインを送ってその物体に近づくと、それは人間の脚部だった。

俺たちは海面の重油を突き破って浮上。

 周囲をライトで照らして捜索しているとかすかに人の声が聞こえた。

 あっぷあっぷと藻掻きつつ、俺たちを呼び掛けているかのようだった。

 その方向にライトを照射すると重油が浮いた海面から人の頭部らしいものを確認。

 まずい!

 俺は急いで、しかし可能な限り海面を揺らさないようにその要救助者の元へと近寄った。転覆船内には空気が溜まった空間がある程度存在していたが、海面はその要救助者の口元を洗っていた。

 レギュレーターのセカンドステージを吐き出すと、要救助者の口にねじ込んだ。

「はい。大きく吸ってー、吐いてー。東郷船長ですねー?」

 その質問に要救助者は大げさに頷いた。

 行方不明となっていた船長だった。

「海上保安庁です。救助に来ました」

 本当の所属機関を名乗るわけにはいかない。

 海難救助において愛情保安官が海上保安庁を名乗るのは常套手段だ。

 要救助者は何かを訴えている様子だ。

 しかしセカンドステージを咥えた口はすでに海面下に没しており、彼の口から出てくるのは排出された空気だけだ。

 その気泡に混ざって姉ちゃんが浮上してきた。それと同時にセカンドステージを吐き捨てて海中の状況を教えてくれた。

「足が船体設備に挟まってる」

「了解」

 救助機材を入れていたバッグを開く。

 中には携帯式のエンジンカッターやスプレッダーが入っていたが、姉ちゃんは迷うことなくハサミカッターを取りだして再び海中へと潜っていった。

 それと同時に俺は阿吽の呼吸で要救助者の体を抱きかかえて立ち泳ぎをする。

「船長、これから挟まっている足を外しますからね」

 姉ちゃんが持って行ったハサミカッターはメスのクワガタの顎のような形をした救助機材だ。最大出力は約10トン。そのパワーでパイプなどを切断するのだ。

 しばらく待っていると要救助者の体がふわりと浮いた。姉ちゃんが船体設備を切断して要救助者の体が解放されたのだ。こうなれば後はこちらのものだ。

「足が外れましたからねー。もう大丈夫ですよー」

 俺は船長を抱きかかえながらひたすらに語り掛ける。

 応援するだけでは事態は好転しないが、要救助者にとってはこれほどに心強いことはない。

 隣で姉ちゃんが浮上してきた。姉ちゃんは使い終わったハサミカッターをバッグに収納すると次は要救助者用の全面マスクを取り出した。

「はい、東郷さん。ボンベを付けますよー」

 慣れた手つきで空気ボンベのバルブを解放すると、一瞬にしてその全面マスクを要救助者に装着した。おまけに姉ちゃんは自身のヘルメットを外して要救助者に被らせた。

 搬出の準備が完了するとダイバーズウォッチを確認。転覆船内に進入して既に9分が経過していた。絶対に離脱するようにと指示を受けている時間まで残り6分。もう捜索する必要はないが要救助者を抱きかかえて泳がなければならない。制限時間としてはギリギリだ。

別に目標の15分以内に脱出すれば絶対に安全というわけではない。しかし船内に留まる時間が長いほど二次災害の危険性も高まっていく。

 再び潜水を開始して脱出を開始。

 ここまで伸ばしてきたロープを辿っていけば出られるのだから迷子になることはない。気を付けるのは船内に漂う障害物に装備や要救助者を引っかけないようにするだけだ。下手に動いて絡まってしまえば、それを取り外す作業時間分だけ離脱が遅くなってしまう。

 訓練だけでなくこれまでの人生で培った姉弟仲で階段を通過。寝具が飛び交う船員室も難なく突破して船橋の下部に到着した。反対側から2つのライトの光が見えた。浦上さんと愛梨が捜索活動を中断して引き返してきたようだ。

 円を描くようにライトを回してあちらのバディに合図を送ると、俺たちのバディはひと足先に船橋へ移動。

船橋のハッチから先に姉ちゃんが脱出した。そして要救助者を姉ちゃんは外側から引っ張り、俺は内側から押し出した。要救助者が脱出した頃には浦上さんたちも到着していた。

 全員が船外へと脱出すると片手を海面に掲げながら浮上する。活動深度が浅かったこともあり浮上はすぐに完了した。

 しかし油断はできない。

 この場所に留まっていては転覆船が急速に沈没しだした時に巻き込まれてしまう。俺たちは姉ちゃんを筆頭に転覆船から泳いで離れる。ある程度距離を置いた所でとどまって隊員たちに異常がないことを確認する。

 要救助者が全面マスク越しに何かを唸っている。

 それに気づいて姉ちゃんが語りかけた。

「船長、もう助かりましたよ~」

 病院に着くまでが海難救助だが、そこまでの事を要救助者に求めてはいけない。すでに命が助かったと安心させなければならない。

 海面での様子はヘリコプターを操縦しながら小川さんたちが見ていた。小川さんが俺たちの頭上にヘリコプターをホバリングさせると、ホイストを使って高橋さんが吊上救助機材を降ろし始めた。ダウンウォッシュを受けてホイストが揺れていたが、降ろされた機材を浦上さんが1発で掴み取った。

 隊員総出で吊上救助機材を要救助者に装着する。その作業が完了すると俺のハーネスのカラビナをホイストフックへと接続した。

「東郷さん、これから吊り上げますからね」

 声を掛けながらも俺は機上のホイストマンに向けて指を回す。

 吊り上げろ、のサインだ。

 その合図を受け取った高橋さんが機械を操作してホイストが巻き上げられる。荒天に煽られて弓なりにはためいていたワイヤーはピンと張り詰め、俺と要救助者は海面から浮き上がった。

 要救助者の様子を確認しながらも俺たちは作業を続け、すぐに機体横まで吊上げが終わった。機上整備士に差し出されたロープを掴み、俺と機上整備士の3人がかりで要救助者をヘリコプターむくどりの中へ収容した。

「こちら『むくどり』。要救助者を機内へ収容した。隊員の回収作業を続行する」

 コクピットでは副機長の若宮さんが姪乃浜へ無線を送っていた。

 俺たちからホイストフックを取り外すと高橋さんは再び機械を操作しはじめた。海面に残された他の隊員たちを揚収するためだ。

 しかし俺はまだやるべき事がある。潜水装備を脱ぎ捨てると要救助者を機内後部へと案内する。ガンガンに炊かれていたヒーターの前に彼を座らせると濡れていた服を脱がせて毛布でくるんでやった。

「もう大丈夫ですからね~」

 そう語り掛けながら観察装置のセンサーを体中に貼り付けていく。機械を起動するとグラフや数値が表示された。心電図、血圧、酸素濃度などに異常はなかった。

 急ぎでやるべき作業を終えた俺は要救助者から全面マスクを取り外す。転覆船内で発見したときと同じようにぐったりとしていたが、心なしか顔色が良くなっているように見えた。

「あんちゃん、ありがとうなぁ……」

「これから千歳病院に搬送します。お孫さんが待っていますからね」

「そうか……俺の孫は大人しい子供じゃが、物分かりの良い子でな……」

 遭難者は助かった安心感で意識を失ってしまうことがある。そうならないように俺はひたすらに会話を続けた。

「こちら『むくどり』。隊員の回収が完了した。これより要救助者を千歳病院に搬送する」

いつの間にか他の隊員の回収も終わっていた。

 若宮さんが作業完了の無線を入れるとヘリコプターは前傾姿勢となって次の目的地へと移動を開始した。


 ズシン、と音を立ててヘリコプターむくどりは千歳病院の屋上に設けられたヘリポートに着陸した。高橋さんがドアを開けると近くで待機していた医師や看護師がストレッチャーを引いて近づいてきた。要救助者の東郷さんをそれに乗せると浦上さんは看護師と協力しながらストレッチャーを押してエレベーターに乗り込んだ。救急救命士の高橋さんは医師に状況を説明している。

 そして俺もその集団に同行した。

 ただの好奇心ではない。治療室に到着するまで要救助者が意識を失わないよう、ひたすら会話を続けるのが俺の任務だった。

 ベルが鳴ってエレベーターの扉が開いた。

 ストレッチャーの動きに合わせて俺は東郷さんと会話を続けていると治療室に到着した。

 そこにはドラマで見るような巨大なライトが天井に設置されていた。そして要救助者の家族と思われる人々が俺たちを待っていた。

 治療室の中央に設けられているベッドに東郷さんを乗せ変えた。

「東郷さん、ご家族ですよ~」

 ふと周囲を見回すと、泣き叫んでいる子供がいた。

 身長から考えると幼稚園児ぐらいだろうか。

 きっと東郷さんが言っていた幼稚園児の孫だろう。

 俺はその泣き叫んでいた子供を抱き上げると、ベッドの上の東郷さんに見せてやった。

「東郷さん。この子がお孫さんですか?」

「おお、そうじゃ。この子が俺の孫でな」

 ほう。

 この子が物分かりの良い孫か。

 俺はその子の顔を覗き込んでみた。

「ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!!!」

 最初はキョトンとしていたが、重油に塗れて黒くなった俺の顔に驚いたのだろうか。その子はさっきとは比べ物にならないほど泣き叫び、俺の腕から脱出しようと必死にもがき始めた。

 しかし残念だったな。

 普段から反省として何百回。

 時には千何百回と腕立て伏せをしている俺の腕を振り払うことはできない。むしろその動きを封じることすら容易だ。

 まさに「赤子の手をひねる」といったものだった。

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