言の刃

言の刃

　突然ですが皆さん、包丁は凶器ですか？それとも道具ですか？

　僕の答えは両方です

　なぜ、両方なのか

　包丁は人を傷付け、最悪の場合殺せてしまう｢凶器｣にもなります

　ですが、食材に使えばあなたやあなたの回りにいる人の腹を満たす「道具」にもなります

　では次の質問です

　言葉は凶器ですか？それとも道具ですか？

　この答えも両方です

　なぜ両方なのか

　言葉は平たく言えば意志疎通を図る「道具」にしか過ぎません

　が、使い方を間違えれば人を何人も殺せてしまう凶器に変わります

　ネットが普及し、SNSが浸透した現代社会で言葉は｢道具｣の面より「凶器」の面が強くなっている気がすると僕は思います

　｢言葉｣が鋭利な｢言刃｣に変わった時、それは恐ろしい力を持ちます

　対面での会話では「言刃」は数えるほどしか使われません

　ですがSNSの世界では幾数千、幾数万――数え切れない程の「言刃」が使われ、短時間で１人の心に突き立てられ、刺されます

　ですが、「言刃」も包丁と同じです

　使い方によっては人を救える「道具」になります

　それは、きつい「言刃」を使って人の心をズタズタに引き裂く｢凶器｣としての使い方ではなく、料理を作るような優しい「言刃」で辛い過去に捕らわれている人の鎖を断ち切る「道具」として使うという使い方です

　これを読んでる皆さんは「言刃」をどちらの使い方で使いますか？

　僕は「言刃」の「道具」としての力を信じて、今までもこれからも作品を書いていきます

　僕はそれだけです