合わせ鏡は割れている

秋空 脱兎

プロローグ A.D.202X/10/31

こくはく

 巻き上がり、降り注ぐ火花と裏腹に、身体がから冷えていくのを感じた。

 好き放題やっている連中に、好き放題報いを受けさせた。

 人の形を奪うのは、惨めに潰れて燃えていく様は、とても気分が良かった。

 何も生まないのではなく、生まれた何かをこの手で無に還す、復讐は。


 何もかも上手く行った、はずだった。


 僕──私の願いの結果が、これ?

 目の前に散らばった残骸を前にして、想像の外にあった事実を理解して。

 ……嗚呼。あなたは、あなた自身すらも……。


 長くも短い慟哭と、確かな納得の後、私は、最期の願いを口にした。


「鏡よ鏡、〝合わせ鏡〟──」

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