ディナータイム
「いやあ、やってみるもんですねえ、ラジオ会議! こちらは想像以上に盛り上がっておりますが、リスナーの殺し屋さん方はどうですか? ウキウキ? イライラ? まあ明日があるとは限らぬ命、今日は今日で楽しみましょう!」
ジョニーがカフのレバーを下げ、室内にジングルが流れた。続いてリクエストされたらしい激しいリフの音楽も。
部屋こそ厳粛なれど雰囲気は明るい。執事めいた服装の男が入室し、水とグラスを交換、それぞれの席に注文の酒を並べる。
最奥のゼル爺は古いバーボン、グウィンは二十年もののトゥニーポートワイン、ジョニーは相変わらずのブランデーで、クレイは安ビールだった。そして、アイクは。
「おっと。伝説の〈ホブ〉メロウは
クレイが瓶を片手にからかった。
アイクは腕組みをして背もたれに体重を預ける。
「そういうわけじゃないんですけどね。今飲むと悪酔いしそうで」
「……〈ホブ〉メロウは酒に目がないって聞いたぜ?」
二人の間にごく微かな緊張が走った。曲が終わる――。
ジョニーは鋭い目をしてクレイを牽制、カフのレバーに手をかけた。上げる。
「お待ったせいたしましたーっての! ガソリン入れに行ったら私の燃料タンクが満タンで! トイレに寄ったらどうですか! もう
ジョニーは届いた資料を見ながら言った。
「『俺の殺しは注文通り!』バラエティー部門ランキングゥ! ゴー!」
エコーで重なる『ゴー!』の一声。
「我々、殺し屋は日々、注文の多い依頼人に頭を悩ませているはず! そこで! 今回はバラエティ豊かな殺しっぷりを紹介しまして、皆さまにお知恵を提供できればと! そんな思いで新設した部門でェー、ェー、ございぁす!」
ジョニーはブランデーを呷った。
「どうですかメロウさん。ノミネートされた中にこれだ! というのはありますか」
「そうですねぇ……僕はこれかな。えっと『ズンダモチ』
アイクは資料を淡々と読み上げる。
「僕、日本って行ったことないんですけど、この方、ヤマダさん? によると、日本では時期さえ間違えなければモチを喉に詰めて殺せばバレないって」
「ブハハ! なんですかソレ!」
ジョニーのツボに入ったらしい。
ゼル爺が悪い顔をして乗っかる。
「あれだな。『ロシアで殺したらウォッカと一緒に捨てろ』」
ブフッ! とグウィンがワインを吹き出した。
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