伝説
「――というわけで、殺し屋ランキング・パーティ部門、上位三名が出揃いました! まずはアフガンからのノミネート〈バネ指〉スルタン! 続いてコンゴから参戦〈ハッピーハーブ〉ウンバ! そして、こちらにおわします、我らが〈
ジョニーはくつくつ笑った。
「もう一位はグウィン姐さんでしょ! だって凄いもん! たった一人を殺すために五万発ですよ!? いくら蜜蜂ったって屋敷を蜂の巣にします!?」
胸元の大きく開いたドレスの女――グウィン以外のメンバーがこらえきれずに吹き出した。グウィンは一人冷静に水差しをグラスに傾け、口に運んだ。
「光栄ね。女は毒ってイメージも払拭できるかもしれないし――でも、いいの? 報酬は差し引きマイナスだったのに」
「ハハハ! 流石〈蜜蜂〉! 後先考えねえな!」
会話に入り切れずにいた男がここぞと言う。
「順位を決めるのは報酬額で儲けのデカさじゃねえし、いいんじゃね? スルタンとウンバは人命の安いとこでやってんのが悪いってことで。……まあ、山羊一匹と引き換えにってのはウケるけど」
男がゲラゲラと笑い、グウィンは小さく肩を竦めた。
「はい! 決まりました!」
〈お喋り〉ジョニーが後を引き取る。
「〈
話を振られたアイクは腕組みをして、しばし上を向いて考えて、言った。
「いいんじゃないでしょうか。おかげでゼル
「そこ!? そこもポイントですか!?」
ジョニーが大げさに突っ込むと、黒スーツの老人が小さく手を挙げた。
「若者が楽しそうだからね、ついつい。歳だなぁ」
「いえいえ。伝説のコルト一丁二十四人殺の真実を教えてもらえて得した気分です」
アイクは雑談のなかで語られた伝説を思い返す。
「いいですよね、昔の殺しって。おおらかで――でも熱くて」
「親友の
ギャヒ! とクレイが引き笑いした。
「一人一発で十八人もすげえけど、最後の六人が傑作だよな!」
グウィンが後ノリで声を揃えた。
「『残りの五人はグリップエンドで。最後の一人は鼻からバレルを突っ込んだ』!」
アイクとゼル爺を除く三人が爆笑した。
「昔の僕だったら、逃げてましたよ」
アイクの言葉に爆笑の渦はさらに大きくなった。
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