6
私はどちらかと言えば昼間の方が好きな人間だったと思うのだが、この浜に来てからというものの日光が虚無をもたらす紫外線を含んでいる気がしてならない。多少の充実感としっかりした寝床ほしさに、貰ったテントを組み立てようとしたが片脚をかばいながらの作業はなかなか捗らない。ペグもないので、今日は緑が見える内陸の方で代わりになりそうな枝などを探すことにした。枝では心もとないにも程があるが、能天気女には見えないペグを打ち付けておくよりは信用できる。
島が小さいことは知っていたが、内陸もなんともまあ面白みのない場所だった。やはりここにはホテルを建てよう。現世から切り離される解放感と、屋上からの360°水平線オーシャンビューをウリにしよう。
ビッグビジネスと称したくだらない妄想を糧に、なんとかテントを設営した。場所は地面が柔らかくて枝を刺しやすい浜。絶対に水が届かない場所にしようと思ったが、人魚さんとの交流の便を考え、満潮の波打ち際スレスレを選んだ。
さて、暇だ。支援物資のおかげで人間らしい衣食住を手に入れたが、現代社会を生きていた私は娯楽に飢えていた。
早く夜にならないかなあ。
余した時間は人魚さんに聞きたいことをまとめることに使った。いつの間にか意識は夢の中におちていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます