第2話 返品不可
大学で初めて実家から離れ一人暮らしを経験すると、やはり一人暮らしは心地よい。卒業後に一旦実家に帰り就職するも、ちょびっとお金が貯まったところで、気ままな一人暮らしに。
のんびりしつつ、意外と繊細な私は、お年頃には、人並みに恋に悩み人生につまづき、仕事でのストレスもうまく発散しきれず、たまにポンッとプチ爆発で実家に帰ったり出たり帰ったりの20代。基本は気ままに一人暮らし。20代の頃のわたしの好きなことは、買い物、飲み会、デート、読書、ジム通い…お金が全然貯まらない。貯めてないんだから貯まらない。お金は勝手には貯まらないのね。
結婚チャンスは何度かあっても、逃げたり逃したり、そんなつもりはないのにチャンスの網をかいくぐり30代に突入。30代になってのわたしの好きなことは、買い物、読書、テレビにビデオ鑑賞、泳いで、温泉、ネットサーフィン…20代との違いは、あまり繁華街に行かなくなったことくらい。
30歳の私の夢は、たまに泳いで温泉浸かって本でも読んで絵なんか描いてテレビ見ながらゴロゴロしたい。そう、やっぱりただのナマケモノ。
いつか結婚して、夫の収入でローンでも組んでマイホームを手に入れて、快適な家で家事しながらちょっとだけ働いて、子供の世話して…それがいいなぁ…いや、いつかそうなるもんだと思ってた。
自然にそうはならないんです。けれど、ナマケモノは、そうなるためのお相手探しなんてしないのです。自分の好きに生きて無理はせず、パートナーに関しても、いつまでも「この人なんとなく好き」という感性に頼るお相手探し。それが30歳過ぎても変わらない。
ナマケモノ生活を送りつづけ、親も一旦結婚を諦めかけた30代後半に、感性と縁で年下夫と結婚した。ナマケモノでお金はないが、大卒、国家資格あり職ありのわたし。夢と無限の可能性はあるが、お金がなくて高卒、新たな職へ挑戦中の夫。
元々は家柄だとかなんだとか口うるさい親でしたが、もう意外と反対しません。こんなナマケモノを嫁にしてくれるならよろしくどーぞ、まさにセール品につき返品不可です、といった感じ。
まさかこのわたしが自分の家を建てるなんて、この時も、本人含め家族、親類縁者友達も、誰ひとり思っていない。36才、ついに結婚にはたどり着いたナマケモノ。まだまだ「家を建てる」とは別世界に生息していた。
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