ナマケモノ家を建てる

@_fly_

第1話 将来の夢

「家を建てる」

 大学時代にサークルの自己紹介付き名簿で

「将来の夢」欄を埋めるべく、なんの気無しに書いたわたしの夢。

 そのサークル名簿を見た友達のお母さんが、こんな女の子素敵ねって言ったとか。

 わたしはそんな素敵な女の子ではない。ほんとうの夢だったら素敵だけど、わたしが頭に浮かべたことがあるとしたら、子供がおままごとしながら自分だけのお家がほしいな〜レベルのこと。何事にも、努力というものは最低限にしたい、意識低い系。ほぼ運と勘で生きている。

 将来なんて何にも考えずに楽しく大学生活を送り、なんとなく就職した。なんとなく楽しい20代を過ごして、いつかどこかに自分の本当の居場所があるんじゃないかと夢見つつ、なんとなく30代になった。

 30過ぎてもブレない「なんとなく感」。なんとなくいつか幸せになれると思ってた。その根拠のない自信はどこからきていたのだろう。仕事は生きるための手段であって人生の中心は仕事以外の時間だと思っていた。仕事の時間はそれでも自分の精一杯で働いたが、可能な限り休みは多くほしい。なのに、プライベートでは、いつか、いつかと、夢や希望は先送り。幸い手に職ありで、仕事に困ることはなく、適度に働き、適度に遊び、ふと気づくとなんだか何も無い。プライベートでも仕事でも、目標も希望も願望も、なんだか何も無いのです。何のために生きているの?人生ってなんだろう?そんなことを考えつづける日々。家を建てるなんてこととは無縁どころかまるで別世界、いや別次元を生きていた。


 わたしの本当の夢は、マイペースに好きなことしてのんびりのんびり暮らしたい。

 そう、根っからのナマケモノ。

 小さい時から、めんどくさいことはしたくない。なんとか楽できないかと考えることだけは怠けずにした。お年玉はすぐに使い切るタイプ。学生時代は親のスネをかじり尽くし、就職後もマイカーすら自分で買ったことがない。

 

 そんなわたしが、45歳にして、これからわたしの家を建てる。


 根っからのナマケモノが、何がどうなって家を建てることになったのか。

そして、ほんとうに家が建つのか。

 因みに貯金もほぼ無し、親からの援助も望めない。賃貸のアパート暮らし。

 目標は半年後に新築の我が家にお引越し!

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