あんばらの年月
この妖獣と戦って随分と経つのに未だにこいつがあの状況から生きていたことがわからない。
クレナイもおっ死んじまったしで俺一人でこいつを倒せんのか、、、何とかクレナイに活活を使えればイケルが活活の様広範囲は対象の直径2メートル以内に限ってるしで、爆弧も打てるには打てるが、クレナイの爆撃を受けても蘇ったトリックがわからん以上無駄打ちはできねぇ、けっ、珍しくお手上げ状態かよちくしょぉ、しっかし、突破口がねぇ以上さて、どうするか。
そんな感じで思考しながら刃をいなしていると、ナナの左腕の剣に尾が巻きつく、
「しまっ、、、!」
力では当然ではあるが草刈に勝ち目などなく、徐々に少しずつ引っ張られれ、一瞬でも気を抜けばあっという間に引き込まれる。
しかし、何か妙だ?、恐らくはコイツは今すぐ思いっきり引っ張ればその体格差と残り体力さで俺が負けて簡単に連れ込めるというのにそんなことはせずまるでゆっくりと品定めするように尾を揺らし、よりきつくしばってきた。
草刈は余裕がないながらも強がり、イタチへ挑発をし始める。
「おい!、ゾウキン野郎!」
しかし、イタチはまるで反応を見せず直ぐに「ケッ!」と鼻で笑うとそのまま残っているニ本のうちの一本だけで、攻撃を始める。草刈は悔しながらも、今のままではどうしようも無く、なんとか一撃目まで避けることに成功するも、その返には反応できず、イタチの尾の刃が横腹に深く刺さる。
「ガァ、、、」
そう鈍い声を出すとその何度味わっても慣れない痛みに体を軋ませながら空いている左腕で尾を掴む。
それに対してイタチはそうでもなさそうにしながら、
「どうした?、悪いがそれでは意味などないよ?」
そんな余裕そうなイタチを嘲笑う様に口から赤黒い液体を流して笑う草刈りの姿が有った。そしてそのまま真っ赤になった瞳でイタチの方を見ながら勝ち誇る様に、
「悪りぃなぁ!イタチ!、このチキンレースは俺たちの勝利だ!」
此処にいるものの中で唯一のイレギュラーがあった。先の話でもそうだった様に、とある舞台に立った一つの少しのズレ、違和感が発生すると物事は突然と動き出すものだ。
その瞬間イタチはその全神経を自身の背後へと回し草刈にむけている物全てを背後の先程自身が恨みを込めて無様に殺してやったやつの方向へと向ける。
「ゴノォォォォ!!!!!クソ猿どもがぁ!!」
しかし、その全てを捧げた行動すらも一歩遅く、イタチはまた背後を作ってしまった。
刀身は金色に染まり、翼を広げて地を指す。
その鳥は地へと勢いよく突っ込んでいくと、その元々こんな奴らの舞台にされ続けさせられていた地面はその痛みから解放されるのを喜ぶ様に体を崩してゆく。
その巨大な崩壊の元にいたイタチと草刈の二体は共に下へと落ちていってしまう。
しかしイタチは足掻き続け、今度はその闘争本能全てを生存本能へと切り替え、まだ残っていたコンクリートの端にまるで鉤爪の様に引っ掛けようと尾を飛ばすも、そこに紅閃光が走る。
「さらばです。」
その冷たくも熱きものがこもった言葉と共に紅き閃光は豪炎を轟かせ、両腕をマフラーからまるで火炎でできた剣へと変え、その流線形のボディを生かしたそのスピードを切れ味へと変換し、醜いゾウキン野郎の尾っぽ三本引き裂く。
高熱を帯びた鉄の熱さは肉を焼き、骨を砕き、血液を飛ばし、そのまま肉体をその火炎で丸ごと燃やし尽くす。イタチはたええができない酷い断末魔をあげ、火だるまと化しながらする10メートル下へと流星の如く落ちていってしまった。
△△△△△△△△△△△△
その三つの者たちがはるか下へと落ちていってしまった姿を見ているしか無かった力無くただ一つ活活と唱えた青年は自然と涙していた。この下の真っ暗闇の中に落ちていってしまっていった二人に対してなのか、それともこの場での生き残れたことへの喜びか、嫌、この場で自分だけが生き残って嬉しい様な者などそうそうはいないだろう。自分の行動は恐らくは最善策で有っただろうが、それが全て正しい訳では無かった。これだけの話である。
彼は祖父の死と時の様に目から大粒の涙を流しながら責めて供養をしようとお経を唱えようとしていると下から何か音と光が見える。
「ん?なんだあれ?」
その光と音はどんどん大きくなっていって、こちらへと向かってきていた。
青年はまさかと思いこれまた赤ベソをかきながらより深く覗き込む。
その光は形を変えてそれは真っ赤なボディに飛行機の様な翼を広げてそこから炎のジェットの吹かしているその背中にはボロボロになった肉体のままオーイと手を振っている男がいた。
「草刈さん!クレナイさん!」
「勝ったゾォ!コンニャロぉー!」
ついに、勝利は彼らの手の中に落ちてきて、3人で掴み取ることができた。
日本横断妖怪退治二人と一台とキャンピングカーでお送りするドタバタ旅行記!ドンドンパフパフ メヂカラ @MEDIKARA
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