逃げず、臆せず、惑わずに。

 むかーしむかし。今では中国と言われる場所のとある山の中に一匹の小さなイタチがいた。

 このイタチは何十年も生きてきた為か、妖力と言う生き物ならば先天的か長生きによって使いこなせる様になるスーパーエネルギーであるが、才能の部分がでかくどれだけ長生きしよう持てる者と持てないものがあり多くの生き物は後者である。まぁ、このイタチは前者であったわけであり、その不思議エネルギーを手に入れていたわけではあるがこれによって老いを感じず、日々その日気ままに自由に木のみを食べ、山や野をかけ、その他の生き物と遊んだりと現代社会の人々がうわやましがる様な生活を数十年単位で続けていたとあるいい天気の昼のことだった。

 その日はイタチを含めて森の開けた場所で集まった動物たちがサークル状に固まりながら果実を貪り、談笑を楽しんでいた。と、ある最近妖力を手にしたばかりの新人の動物が特に何を考えるわけでもなく、ふと思いついた疑問をそこにいた数十匹ほどサークルを作る様に固まっていた妖力を持つ生物全体に問いかけた。


「なんと無くなんすけど、皆さんの中で一番強い人は誰ですか?」


 動物たちの間に雷が駆け抜けた。生き物というものならば、鯨からミドリムシに至るまで全ての生命体は心の奥の奥の奥の奥の奥とそこには絶対的に[我こそが全生命体の頂点であると]と思い、思っているだろう。

 最初に声を上げたのは牛のだった。


「こんなかじゃ僕が一番図体がでかいからね、そりゃ僕だ?」


 と、牛は鼻をふーと鳴らして自信高らかに我こそと言った。

 それに対して反発する様に何のこれしきにと牛の次に図体のでかくて短気なパンダの巨山がチンピラみたいな口ぶりでイラつきながら


「んダト!テメェ!確かになぁ、図体だったら!テメェ〜の勝ちだがよぉ!喧嘩だったらこの俺様にかなぁ奴ぁこの世界にいねぇんだよ!そこんところをそのアホヅラに刻んでおけ涎マン!」


 とその巨大を持ち上げて牛の方へとガンを飛ばすと、それに怒ったのか牛もパンダの眼光に自身の顔を入れて鼻息を先程の倍は荒らげながら尻尾を逆立てていて、それに他の動物たちがマズイとアワアワし始めると、皆の後ろの木の木陰から桃をガブリと齧ると左目に傷が付いているウサギが「やめな!馬鹿どもが!」と一喝しイラついている二体の目の前に姿を表す。

 それに対して牛はウサギが文字通りに脚にも及ばない大きさと図体を見てふっ、と笑い、パンダもオラついてるくせにはチビなウサギを見て口元に手を寄せて馬鹿にする様に笑った。

ウサギはこの対応に動じず、その場で少し脚に力を入れて自分の何倍もの高さを飛んで見せ、そのまま二体の顔面を足で勢いよく蹴り、急所に当たったのか二体はその場に倒れ、ウサギはアメコミヒーローの様にカッコよく着地すると倒れている巨体ニ体に対してバカやってんじゃねーよと言うような後ろ姿を二体に見せると他の動物たちがサークルを作っているところにあぐらを描きながら座り込むと隣にあった瓜にかじるつくと二体に説教を始める


「お前らは力でしか物事を可視化出来ねぇのかよバガが!、いいかぁ、俺は確かにおまんらなんかとケンカしても勝てはしないが、俺の自慢の足の速さだけだったら勝つこともできるんだぜ!、そこん所をちゃんと考えてから発言しろ!」


しかしその発言に首をパンダが突っ込む。


「で、でもヨォ!、俺は確かに足はアンタに敵わねぇことは認めるが!それでも俺の方がステータス的にはたけぇだろうが!」


コイツ、口調がチンピラみたいなのに汚ねぇのに見た目がシャチと同じでも、何故かあまり怖く見えないな、とそんなふうに俺がパンダの方を見ているとウサギがはぁ〜、と呆れた様にため息をつき、後ろを指差す。


「俺たち一族を足で勝ち、さらに肉を食うもの、、、、、、キツネだ。」


その瞬間、今までに議題に自分が上がる事はないと思っていたキツネは先ほどまでかじっていた桃を吹き出して嗚咽し、青ざめながらウサギに弁明を開始する。


「ちょ!、ウサギさん!、アタシはコイツらに喧嘩なんぞ売りたくなんですよぉ!勘弁して下さーい!」


すると、ウサギはこの発言が気に入らなかったのか、これまた飛び上がるとキツネの顔を思いっきり叩きつける。


「あぁぁぁぁ!!!」


とキツネは倒れ込んで叩かれた右頬を押さえ込みながら地団駄する。


「ひ、ひどいっすよーウサギさん!いくら何でも.......」


「自信を持たんかバカタレがぁ、お前は俺よりも強いんだこんなパワーバカなんぞにお前は負けんよ!」


とウサギはかなり盛りめにキツネを鼓舞する。


「えっ、え〜、そおっすかねぇ〜そうですかねぇ〜ウサギさ〜ん。」


あからさまにニタニタとしながらウサギに聞き返す、あぁ、コイツ多分一度も人に褒められた経験が無いんだろうなぁ、と同族である俺は察しながらもなんだか今度は面白そうなので黙って見ていることとした。


「あぁ!キツネ!お前は力、素早さ、美しさ全て奴らに優っている!」


その言葉で完全に天狗になったキツネは花を高くしながらパンダと牛の元へと近づく。


「へ〜い、でくのぼud)」


その瞬間、キツネの頭はパンダの爪によって飛ばされて、首から下は牛によって数十メートル先まで吹き飛ばされる。

その場に静寂が訪れる。

数秒の静寂の後にはぁー、とため息をパンダがつくと目の色を少し変えてこちらを見でくる。


「もういいわ、めんどくさ、ようするによぉ───」


その場の捕食される側の動物たちが唾を飲み臨海態勢をとる。


「パンダ、初めて気が合ったな───」


「まとめて!、ぶっ殺して食ってやらぁぁぁ!!!」

「まとめて!弾き飛ばしてぶっ殺してらるっ!」


その場がコロッセオへと変わろうと仕掛けていると、遠くの方から一匹の動物が声を上げる。


「愚かな事はやめんか!、命を馬鹿に削るな!」


ソイツはボロボロの衣服を着ながらも、その顔からは気高さを思わせる金色の毛を靡かせていた。


「我の名はロン!、この場の勝負、私が預かろう!」



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