第3話

次の日、僕は早速彼女を呼び出した。


善は急げ、だ。

場所はもちろん、彼女と再会した丘の上の公園だ。


「どうしたの? こんなところに呼び出して」


遠くの夜空に花火が上がる。


あぁ、そうか。今夜は夏祭りだ。


どぉんどぉんと鳴り響く重低音が僕の心を落ち着かせる。

焦らなくていい、とまるで鼓舞してくれているみたいだった。


「ねぇ、僕のために死んでくれる?」


言葉を放つと同時に、涙がぽろりと零れ落ちた。

無様にも僕は紅葉に懇願した。


「えぇ、いいわ」


嬉しそうに笑って快諾する彼女が、こんなにも愛おしくて、こんなにも憎い。


一緒に生きていけないのならいっそのこと、僕の手で。

それが最大の愛情表現なのだと疑いもしなかった。


僕は、紅葉の首に手をかけた。

かつて雪が僕にそうしてくれたように。


彼女は全てを受け入れた清々しい表情のまま、瞼を下ろした。









これで二人目だ。

誰かを殺してしまうのは。


仕方がないんだよ。

だって紅葉が悪いんだ。


双子の区別を付けられない君が、その癖「あお」を愛しているなんて言う君が、憎い。

どうしようもなく、憎いよ。


「君が! "あお"のストーカーなんてするから!」


未だ僕の兄に執着なんてしてるから‼

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