第六話

 日高ひだかが、不思議そうに聞いた。

「どういうことや、鹿島かしま?」

「とにかく、貸してみろ」と鹿島は、右手を出した。すると日高は充電式掃除機じゅうでんしきそうじきを、差し出した。


 鹿島は充電式掃除機の後部を帆船はんせんに向けると、スイッチを入れた。するとそこから『ブオオオオー』と風が吹き出し、帆船が進んだ。日高はおどろいて、叫んだ。

「何やこれ?! どうなってるんや?!」


 鹿島は、説明した。

「だから充電式掃除機って、吸い込むだけじゃないだろ? 前方から吸い込んで、後方の排出口はいしゅつこうから空気を出すだろ。それを利用したんだよ」

「な、なるほどな……」


 見ていると帆船は、砂場すなばの奥まで流されて岩に当たった。すると『カチリ』と、音がした。そうすると『手をれずに帆船を、奥へ流すべし』とう文字がきざまれた洞窟どうくつの右側の岩が開き、ある物体が姿を現した。


 鹿島は、つぶやいた。

「こ、これは、〇ナソニックの食器洗しょっきあら乾燥機かんそうき……。これが徳川埋蔵金とくがわまいぞうきんの正体か……」


 日高も、呟いた。

「な、何て神々こうごうしいんや……」


   ●


 鹿島は五枚の原稿げんこうを読んだ後に、キレた。

わけ?!ーー」

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