第三話

 男は、おどろきの表情で叫んだ。

「な、何だと?!」


 日高ひだかは。続けた。

「だから、四から二。二から三。こんなの人間しか、おらんやろ」


 男はうろたえながらも、聞いた。

「り、理由は何だ、理由は? 理由もあってなけりゃ、正解にはならないぞ!」

「だーかーらー、歩く時に使う部分の数やん。赤ちゃんは、両手両足を使うから四。成長すると両足で歩くから二。年を取るとつえをつくから三。どうや!」


 男はうろたえながらも、言った。

「くっ、せ、正解だ……」


 すると日高は、えた。

「これは、有名な問題やん! 俺ら発想者じゃなくたって、知っている人は知っているで!」

「くっ、くそ……」


 背の低い男は、男に聞いた。

「え、えっと、どうします?」

「こうなったら、やることは一つしかねえだろ!」

「はい! もっと難しい問題を出すんですね!」

「ちげえよ! 逃げるんだよ!」と、男は逃げ出した。

「え? ちょ、ちょっと待ってくださいよー」と、背の低い男も逃げ出した。


 日高は、あきれた。

「全く、もっとマシな問題を出せっちゅうねん!」


 鹿島かしまも、同意した。

「そうだな……」


 それから二人で回転寿司へ行き、まぐろ、サーモン、玉子たまご、えび、いくら、うに、しめさば等を食べた。回転寿司から出ると、日高は別れを告げた。

「ほな、ワイは大急ぎでホテルに戻ってノートパソコンで清書せいしょするから。あ、せや、百万円は銀行口座に振り込むから! じゃ、さいなら~」


 鹿島は無表情で、答えた。

「ああ、じゃあな」


 そして帰る途中、電車の中で今ハマっている、chelmicoの『Easy Breezy』等をユーチューブで聞きながら過ごした。そしてマンションへ、戻った。

「ただいまー。あー疲れた……」


 すると、史織しおりが聞いてきた。

「お帰りー。何、日高君の仕事を手伝ってきたの?」

「え? 何で知ってんだよ、お前?」

「だってマンションを出る前に、スマホで話していたじゃん!」

「あー、そうか。なるほどね……」


 史織は少し、心配そうな表情で聞いてきた。

「話は変わるけど、お昼ご飯は食べた?」

「ああ、日高のおごりで」

「あら、そう。なら、いいわ」

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