タヌキのシッポはミドリイロ

天明福太郎

タヌキのシッポはミドリイロ

ボクの目はお父さんと同じように茶色くて。

ボクの耳はお母さんと同じようにまん丸だ。

だけど一つだけ違うところがある。

僕のシッポの先はほんのチャットだけミドリイロ。


ダレにも似ていない、木の葉の様にミドリイロ。

僕たちが変化するとき、頭の上に葉っぱを乗せるけど。

僕は頭じゃなく、反対側のシッポに木の葉をのせているみたい。

だからみんなにからかわれるんだ。




変化の授業の時、みんなは上手く化けれるのに。

僕だけ変化をすると逆さまなる。

さっきまで普通に立っていたのに変化をすると逆立ちしたようになる。

まるで大道芸人みたいだとみんなは笑った。

笑い転げて、息が出来なくなるまで笑っていた。

そんな中、先生は僕をまっすぐに見つめて言った。


「きみの変化が一番うまかったよ。逆さまだったけど、逆立ちすれば問題ないじゃないか。」


そんな言葉を掛けられてもボクの心は晴れなかった。

足手まといのタヌキだと思えて仕方なかった。




冬のある日。

人間たちがボク達の住処のそばまでやってきた。

いつもなら大人たちが追い返してくれるが、今日は大人たちは誰もいない。

何とか変化して追い返そうとするけど、うまくいかない。

いつも変化に使っている青々とした木の葉が無いからだ。


「ボクに任せてよ。」


気が付いたらそう言っていた。

みんなが何を言っているんだとみていたけど、ボクは必死にしていた。

シッポの先のミドリイロを頭の上にのせると、上手に変化できた。

上手く化けれたボクは、人間達からみんなを守る事が出来た。


ボクの目はお父さんと同じように茶色くて。

ボクの耳はお母さんと同じようにまん丸だ。

だけど一つだけ違うところがある。

僕のシッポの先はほんのチャットだけミドリイロ。

みんなとは違うけどそのおかげみんなを守る事が出来たんだ。

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タヌキのシッポはミドリイロ 天明福太郎 @tennmei

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