第5話
結果は散々だった。
台詞は全然覚え切れていないし、相手方の人を怒らせてしまった。
現場の方で連絡の手違いがあったみたいで、ボクは助っ人だと思っていたがトオルが代役と誤って伝えたため今回の件が起こったんじゃないか、とカンバラさんは憶測した。
恐らくそうなんだろう。
だけど、本当に手違いなんだろうか?
もし、あのメールが嘘でボクに恥をかかせるためのメールだとしたら………いや、そんな考えは捨てよう。
ありえない。
きっと何か理由があったんだ。
「お疲れ様、アキラ」
収録が終わる頃にトオルは現場に来た。
「トオル……!」
「その様子だと失敗したみたいだな」
トオルの鋭く冷たい声は初めて聞いた。
「トオルが全部、仕組んだことなんか?」
「ああ、そうだよ全部俺がやった。これで分かっただろ?アキラ。お前は向いてなかったんだ。今日やっとそれを皆んなに知らしめる事が出来た。ずっと口だけ達者なお前が嫌いだったよ」
ボクは口が乾いて何も言うことが出来なかった。
「少しは俺に感謝して欲しいな。お前、前に言ってただろ? 夢を諦めるのは夢を叶えるより難しいって、良かったな身に持って知れて」
トオルはボクの肩を叩いてスタジオの出口へ向かった。
「最初に会った時からずっと、ずっと、お前の事が嫌いだったよ」
トオルの言葉がボクの心に重くのしかかった。
夢ってなんなんだろう。
ボクは一体…………。
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