第2話 漂流者
...
ザザァン.....ザザァン...
「......ッ」ピクッ...
...うっ...あれで...生きたのか...俺は...
水中に落ちたとはいえ爆発+悪天候下じゃ奇跡みたいだ...
「イテテテ...体中あざだらけかも...」ムクリ...
幸いにも打ち身程度で済んでそうだな...さ、薄々気付いてはいるが...
「やっぱり無人島かぁ...ついてるのかついてないのかよく分からんねぇ...んんっ?あれ...俺のリュック?船にしまってたはずだが...」
明らかにここあるのがおかしい俺のリュック、あと海に落ちたのに服とか全く濡れてないぞ...?
「...とりあえず怪しい状況なのは改めて分かった...」
とりあえず周りを見渡した、陸側には何か人の手が入った物が見える、近づいてみないと何かはわからないが... 一方海側の遠方には小さい島が見える、多分俺が居るのが本島だろうか。沿岸はほんの少し漂流物があるくらい...おや?何かあるな...
彼は見つけた物に近づく...
「ゴムボート... 少し年は経ってるが勝手に漂流した訳じゃなさそうだ、これは海賊らの物なのか...?怖いし触らないでおこう...」
此処は完璧な無人島ってわけじゃなさそうだ...
...
彼は陸側の方に見えた何かに近づく為に、海風にさらされて風化した岩肌を登る...
「んしょ... これは...トンネル?随分古いな...」
かなり年月が経っているのだろう...奥は暗く、光も見えない...中で崩落しているのだろうか、ぞれぞれの入口には大量の蔦や草が生い茂っている。
人が居た痕跡があるってことはここは無人島じゃない...?だが道がこんなになる程放置するだろうか?う〜ん...
「分からんことは考えても分からんな...あ、そういやリュックに役立ちそうな物があったはず... 確認してみるか」
ゴチャゴチャ...
どれどれ?特注のアルミボトルにコンビニのおにぎり(しゃけ)、無線機にスマホと高性能な充電器...何故無線機なんて入ってるんだ...?リュック自体は軍とかでも採用されてたはずの優れ物、後は無駄に高い腕時計か...
「スマホは海に落としたら大変だからジップロックに入れてたが...そもそも濡れてないのがなぁ...」
こんなもんか... ん?ポケットに何か...
「俺のナイフか...血がびっしり付いちまってる...」
流石に海に落ちた時に無くしたと思ったけど...しっかし嫌な気分にさせてくれる...
「あー... ほっといたら錆びちまう...海水で洗っとこう...」
...皆は無事だろうか
...
あの事件の後、3人は被害者として取り調べ室で質問を受けていた、だが皆は目の前で友人が消えたショックで事情聴取どころではなかったようだが...
コンコン...
扉のノックの後、黒いスーツ姿の人物が入って来た。
「...おい待て、関係者以外立ち入り禁止だ!何を...」
スーツの男は警察官に何かを見せる
「これは特例措置だ、出ていってもらおう」
「あぁ...失礼します...」
「(警察関係者を追い出せる権力って一体...?)あの...あなたは?」
ケースケがスーツの男に質問を投げかける。
「私かい?そんな大層なもんじゃないよ...ほらこれ」
「名刺ですか...えっとなになに...?暁国際事業所...いや、かなりの有名所じゃないですか...」
「ま、いうて名だけさ...」
「で?そんなお偉いさんが何のようで...?」
「君達のお友達の事だ」
部屋に不穏な空気が流れる...
「アイツに何の用ですか...」
「君達にとっても良い事だ、彼は生きている」
「...は!?」
「マジですか!?」
「あぁ、そもそもこのくらいで死ぬような奴じゃないよ彼は...」
「...まるで知り合いみたいに言うんですね...」
アララギが疑問を投げかける。
「あれ?そういえばあいつの名字ってアカズキじゃなかったっけ...?」
「確かそう...あっ」
皆が顔を合わせる...
「あの...まさかあなたは...?」
「そう...彼の血縁者だよ」
...
ジャバジャバ...
「よし、キレイになったな...」
リュックを背負い、少し背伸びをする。
「ぐあぁ...とりあえず暗くなる前に休める所を探すか...」
トンネルの横に見つけた、森の中へ続く道を進む...
「あーあ...なんか長い旅になりそうだなぁ...」
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