第8話 田中太郎④
「・・・」
「「む~~~」」
これは・・一体何なんだ?
神崎と冬室の誤解によるひと悶着があった次の日の教室。下足室で西郷君と合流しそのまま駄弁りながら席に着いたら3人の美少女に囲まれてしまった。
一人は
二人目と三人目は
律儀にも俺がカバンから荷物を取り出し終えた後に来るあたり彼女たちの性格の良さが分かるのだが、はてさていったいどうしたのだと言うのだろうか?
(まさかっ・・!?)
そして俺の脳裏に過ぎる一つの可能性。
(ああ、遂に俺にも来てしまったのか...、これがモテ期っ)
誰が言い出したか定かではないあの格言。そう、
――『人生においてモテ期は三回来る』――
全国の男子中高校生ならば一度は夢見た
(一回目はいつの間にか過ぎていたが二回目は今年だったよな? ただ、はぁ...人の夢は儚いってか)
数秒の現実逃避から立ち直り俺は改めて三人を見る。
(麻奈ちゃんと瑠奈ちゃんは大方昨日の神崎絡みだろうなぁ)
彼女たちの雰囲気はそんな桃色な空気ではない。何色かというと赤だ。
一先ず自らの席でこちらの様子を窺っている西郷君に(目線で)ヘルプを送る。が、彼は俺からのヘルプ要請につぃーっと目を逸らしそれを拒否。許せねぇよ。
ちらほらいるクラスメイト達も気になるのかチラチラとこちらを見ているが期待できそうも無い。姫咲に至っては興味も無いのか優雅にお茶を嗜んでいる。
「ふぅ。え~っと、お三方、
しかしこうして見つめ合っていても仕方がない。いや、俺としてはいつまでも見ていたいよ? 間近で遠慮なく美少女たちのご尊顔を拝することが出来るのだから。でもね?この気まずさは勘弁してもらいたい。
「翆ちゃんどうしたのかな?」
「そうね。何か話があるのは確かなのでしょうけど...」
愛音さん、夢ノ中さん。出来れば彼女を引き取って下さいませんか?
「「む~~~。昨日いっ君になにしたの!?」」
やはり二人はその件か...。噂は知ってたけど俺そんな悪い奴に見える?西郷君と七貴は、うん、悪いが擁護できない。
「いっ君と言うと神崎...の事で合ってるよな?」
「「(コクコク)」」
「何をしたって言われてもバイト先に神崎が来て、軽く話し掛けただけだけど...」
「じゃあ何でいっ君あんなに焦ってたの?」
「うんうん。いっ君があんなに戸惑うなんておかしいんだよ!」
いや知らんがな。
「返信も返ってこないし、ゆっきーに聞いても解決したとしか言わないし!」
「もし二人に酷い事したなら許さないんだよ!」
「しないしない。俺そんな悪い奴に見える?」
というか神崎の奴、説明忘れたのか?冬室は、大方簡潔にまとめ過ぎたとかか?どっちにしても馬鹿野郎と言いたい。
ガラガラ
「でもでも、噂になってるの!」
「そうそう!いきなりあの金髪の怖い人を子分にしたって!」
「・・・」
「あ~、ちょっとお二人さん・・?」
「田中君はズバリ羊の皮を被った狼使いなんだよ!」
「一匹オオカミを飼いならす凄腕なの!」
「・・・」
これは早めに気付かせた方が良いのか? 俺としては面白いからこのままもう少し様子を見てみたい。
「あんな怖い眼をした人初めて見たんだよ」
「牙が生えていてもおかしくは無いの」
段々とヒートアップしていく双子に反して静まり返った教室。ふと水原さんを探すとちゃっかり夢ノ中グループに戻っていた。いったい何だったのあの子?
「田中君聞いてるの!?」
「無視はいけないんだよ!?」
「あ~、悪い悪い。で、まあ俺のことはいいとして七貴の事はあまり悪く言わんでくれるか?あんなんでもいい奴だからさ」
「確かに、言い過ぎたんだよ」
「うん。ごめんなさいなの」
「だ、そうだ。だから七貴もキレるなよ?」
「うるせえよ」
「「ええっっ!!??」」
バッと勢いよく振り向いた双子の後ろに立っていた七貴は鞄を机に置き教室を出て行った。
「「・・・」」
徐々に顔色が悪くなっていく双子。
ガラガラ
「はよ~」
「おはよう。ん?二人ともどうしたんだ?」
「ん~? あ゛っ、やべっ!??」
タイミングが良いのか悪いのか。入れ替わるように神崎と冬室が登場。そして固まる双子を見ると神崎は何かを思い出し、冬室は怪訝そうな表情を浮かべた。
昨日に引き続きレッツ説明タ~~イム!!
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