中央大聖殿
アテナのアクロポリス。
アテナの町の中心部にある小高い丘の 上に立ち、アテナの町を全体を一望できる。
ここには限られた者しか入る事が許されない、世界一の塔、
「これが
白亜の塔は、テセウスがこれまで過ごしてきたラウリオン銀山よりも高く、雲にも届くほど高い。
「テセウス君、こっちだよ」
ここまでドラゴンに乗って移動をしたラファエルとテセウスだが、ここからは歩いて移動する事になる。
「
そう言いながら、ラファエルはテセウスを連れて
二人の門番は、ラファエルの後ろに続くテセウスに視線を向ける。
いくら騎士に抜擢されたと言っても、テセウスはまだ奴隷であり、罪人なのだ。両腕に嵌められた手枷がその事を証明していた。
罪人が神聖な
そんな痛々しい視線に耐えながら、
しかし、どれだけ上がってもラファエルが歩みを止める事はない。
まさかこのまま最上階の百階まで昇るつもりなのか。そう思った瞬間、テセウスは背筋が凍る思いがした。
「あ、あの、ラファエルさん、あとどのくらい上がるんでしょうか?」
「今が十五階で、目的地が五十階だから、あと三十五階上がるよ」
さらりと言うラファエルだが、彼の言葉にテセウスは驚愕した。
「あ、あと、三十五階も上がるんですか……」
「あ。でも、二十階から五十階までは
ラファエルの言葉を聞いてテセウスは安堵の息を漏らす。
「ふう。そ、そうですね。流石に五十階まで歩いて上がるなんて事は無いですよね」
二十階まで上がると、螺旋階段は更に上まで続いているものの、それ以上は上がらずに階段エリアから離れる。
そしてテセウスが足を運んだのは、人生初のとなる
「テセウス君は、
「は、はい。本で読んだ事はありますが、実際に見るのも初めてです!」
人や荷物を載せて垂直に移動する
田舎の漁村や鉱山でしか暮らした事がないテセウスには縁遠いものだった。
人生初の
足はしっかりと床に着いているというのに、身体がふわりと宙に浮いたような感覚を。
しかし、五年間も働かされ続ける日々を過ごしたテセウスにとって、それは久しぶりに好奇心と興味をそそられるものだった。
「す、すごい。あの、これって一体どうやって動いてるんですか?」
年相応の男の子らしい純粋な眼で問うテセウス。
「風嵐系の聖霊術で
「事前に術を掛けて物を動かす事なんてできるんですか!?」
「まだあまり普及はしていないようだけど、十数年前くらいに最高司祭猊下が開発した技術なんだ」
「へえ~。最高司祭猊下ってやっぱりすごい方なんですね」
聖霊術師見習いだった頃の血が騒いだのか。テセウスはこの
その探求心は、ラファエルの知識の壁を軽く突き破り、ラファエルもお手上げになるほどだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます