第13話 試験終わりと友達との昼食
「あ~やっと試験全部終わった~」
八月初旬。大学でのすべての試験を終えた僕は、身体をグッと伸ばしながらそう呟いた。
「ほんとにな~」
友達の一人である川口連が僕の呟きに、反応し呟く。
今、僕は連と連を含めた僕の友達である三島、中川、長谷川と一緒にいた。
連達と一緒にいるのは、連から折角夏休み前の全ての試験を乗り切ったのだから、どこかに飯でも食べに行こうと誘われたからだ。
僕としては断る理由などなかったので、二つ返事で了承したというわけだ。
言っておくと、筒谷は一緒にはいない。
理由は単純で、連達が二次元オタクではないからだ。
筒谷は、基本的には二次元オタク以外とは関りを持たない。
その理由もまた単純で、筒谷は二次元以外のことに疎すぎて、二次元オタク以外と話しても話題についていけず、つまらないと感じるかららしい。
一応連達は二次元オタクである僕を受け入れてくれているくらいには二次元オタクに寛容ではあるし、筒谷を誘っても大丈夫だろうとは考えているのだが、筒谷が嫌と言うのであれば無理に誘うのも良くないだろうと考えたのだ。
そう言うわけで、僕は筒谷を誘わず、連達と一緒にご飯を食べに行こうとしているというわけである。
「それで、どこ行く?」
連が僕達四人に尋ねてくる。
「そうだな~俺は何でもいいけど」
「あ、ごめん。俺バイトあるからできるだけ早く食べれるものがいい」
「だったら食べ放題とかはなしか……無難にラーメンとかでいいんじゃないか?」
討論の中で中川からそんな提案が出てきたので僕はその提案に
「それいいな」
と賛同する。
すると三島や長谷川、連が口々に
「じゃあ、近くのラーメン屋にするか」
「どうやって行く?」
「全員が自分の車で行っても駐車場止めれない可能性あるし、誰か一人の車で行こうぜ」
と言ったので、僕達は近くのラーメン屋に行くことになった。
ちなみに、車を運転するのはジャンケンで負けた結果、連がすることになった。
連が運転する車に乗り、ラーメン屋にたどり着くと車を停めることはできたが中々に混んでいたので、注文が来るまでの間僕達は夏休みにしなければならないことを話していた。
「夏休みな~色々しなきゃいけないよな」
「だよな~自己分析とか自己PRとかもしっかりとやらなきゃいけない上に、インターンシップにエントリーしたり、インターンシップにエントリーするためにエントリーシートも書いてみたりしないといけないし」
「それだけじゃなくて就職試験の勉強もし始めないといけないし、ほんとやること多くなりそうだな」
「「「「「はぁ~」」」」」
ある程度夏休み中にやらなければいけないことを口に出したところで、僕達はそろって溜息をつく。
改めてやらなければならないことが多すぎる。
「やんなきゃいけないこと多いな」
「まあ、やるしかないんだけどね」
連が言った言葉に、返答する。
やらなければいけないことは多いが結局のところやるしかないのだ。
「そうなんだけど……やっぱこう、癒しが欲しいよな」
「癒しって例えばなんだよ」
三島の言葉に中川が尋ねる。すると三島は
「例えば彼女とかだな。辛いときに励ましてくれる彼女がいればいくらでも頑張れそう」
と言った。
「で? 彼女って、できそうなのか?」
そんな三島の理想ともいえるような願望に連が鋭いツッコミを入れる。
「……それは、今はできそうにないけど、来週にある夏祭りとかで、運命の出会いをしたりしてだな……」
「それこそ無理だろ」
「……そうかな……」
再び連から鋭い指摘をされ、三島はわかりやすくへこんでしまう。
夏祭り……か。
そう言えば、試験について助言をしてから一週間くらい経った頃に、式部さんが一回だけ部室に来て、友達と再来週の日曜日に開催される夏祭りに行くことを楽しそうに話していた。
であるならば、式部さんの周りには女友達しかいないし、三島がいう夏祭りが来週の日曜日に開催されるものなら、かなり低い確率ではあるが、運命の出会いというやつをできるのかもしれない。
と、一人で考えていると注文した品が届き始めたので、とりあえず精一杯やるべきことをやろうという結論で話を終え、僕達はそれぞれ頼んだラーメンを啜ることにしたのだった。
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