第6話 美少女からの誘い
「泉先輩、筒谷先輩。一緒にアニメショップに行きませんか?」
時は六月中旬。サークル室に集まり、さあ今から趣味の話をしよう!としたタイミングで式部さんがそんなことを言った。
「アニメショップ? どこの?」
普段はアニメショップに殆どいかないというライトなオタクの式部さんがアニメショップに行きたいだなんて突然どうしたのだろう? それほどにすごいアニメショップなのかと僕が一人訝しんでいると筒谷が食い気味にそんなことを聞いていた。
どうやら、筒谷も僕と同じような疑問を持ったらしい。
食い気味に尋ねる筒谷に対して少しだけ身を引きながら式部さんが答える。
「最近新しくできたアニメショップです。私もいつもだったら特段行こうとは思わないんですけど結構大きいみたいなんで、もし先輩たちが良かったら一緒に行ってみたいなって思って……」
「なるほど、最近できたところか……え、どこ?」
式部さんの答えに対する筒谷の反応に間があったのは筒谷が該当するアニメショップを頭の中でチェックしていたからだろう。
そして発言から察するに、どうやら筒谷の知らない場所らしい。
「一週間くらい前に隣の市にできた大型ショッピングモールの中です」
なるほど、ショッピングモールの中か。どうりで筒谷にはわからないわけだ。
筒谷はオタクの世界にどっぷりとつかりすぎたせいで、現実の変化に少し疎い。
そんな筒谷が新しくできたショッピングモールの施設のことに興味を向けているはずもないし、まあしょうがない事だろう。
「……あ~、あれね……」
う~ん。と頭を悩ませながら筒谷が答える。
どうやら式部さんがいうショッピングモールについて知ってはいたらしい。
まあ、反応から察するに興味はなかったのだろうが。
僕がそんな風に考えを巡らせていると式部さんから
「それで、どうですか? 一緒に行きませんか?」
と尋ねられた。
正直、魅力的な提案だ。
僕自身、こうして誘ってくれでもしなければアニメショップに行くこともないだろうし、オタクが一緒になってアニメショップ巡りをするというのは、僕が想像しているより楽しいものになるだろう。
今は大学の講義でのレポートなどの課題も出ていないし、試験期間もまだ一か月以上先だ。
普通に考えれば、断る理由などないだろう。
「せっかくの誘いだし、一緒に行こうかな」
「俺も行こうかな」
僕、筒谷が順に式部さんの問いかけに答える。
すると式部さんはわかりやすく笑顔を浮かべながら
「じゃあ、いつ行くかとか決めないとですね!」
と言った。
そうして互いの予定を確認しあった後、今週の土曜日に僕の運転する車でアニメショップに行くこととなった。
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