第2話 美少女との出会い
コンビニの駐車場に車を止め(コンビニで飲み物を買ったので無賃駐車ではない)今期アニメの感想を語りあっているといつの間にか集合十分前になっていた。
「もうこんな時間か……そろそろ行こう」
「おう」
筒谷が返事をしたので、俺は車を発進させ、居酒屋へと向かう。
そうして車を走らせること五分。居酒屋に到着し、駐車場へと車を停める。
車から降りて居酒屋の入口に向かうと、すでに十人程度が待っていた。
待っている数人の内僕が知っているのが半分、知らないのがもう半分くらいだ。知らない方がおそらく新入生だ。
五人か……去年よりも少ない。それだけ真面目な生徒が増えたということか……いや、歓迎会にすら来ないほど不真面目な生徒がいることを考えると一概に真面目な生徒が増えたとは言えないだろう。
そんな風に考えを巡らせていると、サークル長が入店の準備を始めたので僕達も一緒になって入店する。
店の中はお座敷タイプの席で殆どが構成されている居酒屋らしい居酒屋だった。
どこに行けばいいのかと悩んでいると、サークル長から三つの座敷席を三時間予約してあること。上級生と一年生がペアになり、一年生が一時間ごとに交代することで、一年生がすべての上級生と話ができるようにしていると言われたので僕は筒谷と一緒に予約してある座席の内から適当な席を選んで座る。
そうして周りも適当な席に座った所で歓迎会が始まったので、俺は向かいに座った新入生に目を向ける。
僕達の前にいる新入生は二人。一人は大学内でもよく見るサバサバ系女子で、もう一人は幼さを残した童顔に、腰のあたりまで伸びたサラサラの黒い髪。服の上からでもわかるほどのすらりとした身体に、透き通るような白い肌の創作研究会という不真面目サークルに似合わないほどの美少女だ。
とそんな風に新入生二人を見ていると筒谷が
「まあ、とりあえず自己紹介でもしようぜ」
と言ってきたので、俺達はとりあえず自己紹介をすることになった。
「俺は三年の筒谷幸助。それでこいつが……」
「同じく三年の泉隆也。よろしく」
「私は山下朋美です」
「式部春です。よろしくお願いします」
筒谷と俺が順に自己紹介すると、サバサバ系女子と圧倒的美少女が順に自己紹介してきた。
なるほど、山下さんと式部さんか。
一応同じサークルにいる以上何回かは顔を合わせる可能性はあるので顔と名前を覚えておくことにしよう。
「それじゃあ自己紹介も終わったし、適当に何か頼んで、雑談でもしようか」
筒谷の言葉を皮切りに、皆がそれぞれ適当に注文し、雑談を始める。
雑談の内容は大学の講義の中でどの講義を取るべきかや、一人暮らしで節約する方法など様々だったがその中にアニメやライトノベルなどの二次元の話はない。
雑談をしていく中で時間が過ぎていき、交代の時間になった。
交代の時間になったので適当に動こうかと考えて立ち上がろうとした時、サークル長が新入生に好きな場所に動くように言ったので俺はそのまま腰を下ろし、反対に山下さんと式部さんが立ち上がる。
その光景に目をやりつつ、後二時間も雑談しなければいけないのかと若干憂鬱になっていると、チャリーンという音がした。
音のした方に目を向けるとそこにはアクリルキーホルダー付きの鍵が落ちていた。
山下さんか式部さんのだろうか? ん? あれ? あのキャラクターって確か……
そんな風に考えを巡らせていると式部さんが鍵を拾い、カバンにしまっていた。
そうして、山下さんと式部さんが去っていき、別の新入生たちがやってきたタイミングで、式部さんの鍵についていたアクリルキーホルダーに描かれたキャラクターが前クールに放送していたアニメ『可哀想な先輩を今日も可愛がる』に出てくるヒロインであったことを思い出した。
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