大学生(2次オタ)の僕と女子大生の不器用な恋愛
アア
第1話 二次オタ大学生泉隆也の友達事情
「なあ、隆也って誰かと付き合いたいって願望ある?」
大学三年になったばかりのそんな時。友人である川口連の自宅で一緒にゲームをしている最中、連が突然聞いてきたので僕こと泉隆也は「なんだよ、急に?」と返す。
「いや別に、ただ何となく気になったから聞いてみただけだよ。隆也はそういう願望もってるのかな~って」
「何となくってなんだよ……」
「何となくは何となくだよ。それで、どうだ? そういう願望あるか?」
ゲームをしている最中であるにも関わらず連が顔をこちらに近づけながら聞いてくるので正直に答える。
「誰かと付き合いたいって願望は一応ある。ただ、僕と同じような趣味を持ってる人とならだけどな」
「お前の趣味っていうとやっぱりオタク趣味か」
「まあ、ざっくり言うとそうだな」
今の会話から察せれるように、僕はオタクだ。
オタクと言ってもアイドルオタクだとか芸人オタクだとかではない。アニメや声優・ライトノベルやゲームなどの二次元が大好きな生粋の二次元オタクだ。
ん? 何? 声優は三次元じゃないかって……別にいいじゃないか!アニメ見てる内に声優にもはまっていったんだから、実質僕の中では二次元みたいなものだ。
「でもそれならお前は、当分誰かと付き合うなんてできないんだろうな」
頭の中で誰に対してでもなく暴論を振りまいていた中、連の言葉で意識が現実に引き戻される。
連の言っていることは最もだ。
僕と連は同じ国立大学に通っているが、キャンパス内でアニメやラノベの話をしている女子や、オタクだと噂になっている女子もいない。
一応、オタクに近いような女子がいるサークルもあることにはあるが、それでもやはり僕の趣味とは違うのだ。
「まあ、そうだろうね」
自分自身でも自覚していることなのでそう返す。
そうしてその後は、僕に質問してきた連に誰かと付き合いたい願望はあるのかを聞いた後、解散となった。
時は進み、四月中旬の夕方。
僕は友人である筒谷幸助と一緒に近所の居酒屋に車で向かっていた。
「この調子だと予定の時間より早くつきそうだな」
「別に早く着いたら着いたで適当にあたりをブラブラしてたらいいだろ」
「それもそうか」
筒谷がスマホを見ながら言ってきたので僕はそう返す。
因みに今のやり取りからわかるだろうが運転しているのは筒谷ではなく僕である。
僕と筒谷は同じサークルに所属しているサークル仲間であり、所属しているサークルは創作研究会だ。
創作研究会とは言っても別に真面目に創作活動に打ち込んだりするような真面目なサークルではない。決まった活動曜日はなく、基本的には暇を持て余した生徒が雑談したりテーブルゲームをしたりするためのサークルだ。完全に名前負けしている。
そして、今日はそんな不真面目な名前負けしている創作研究会が、新入生歓迎会をするということで居酒屋に向かっているのだ。
「しっかしなあ、こんな不真面目代表みたいなサークルにも新入生って入ってくるもんなんだな」
「実際、不真面目代表みたいなサークルだから、一応大学に入ったんだからサークルに入っておきたいっていう人たちが入ってくるんだろ。顔を出しても出さなくてもいい上に、活動内容も雑談かテーブルゲームくらいだから真面目に活動してるサークルよりも楽だしな」
「あ~なるほどな……」
筒谷の疑問に自身の見解を述べると筒谷は納得したように呟く。
実際、創作研究会というのは大学に入ってサークルに入ってみたいが、これまで積極的に部活動をしてこなかったような人種には非常に魅力的に見えるのだ。だからこそ、僕のようなやつらが一年に一回のこの時期に数人入ってくるというわけである。
まあ、時間が経つにつれ、就職に向けたエントリシートやガクチカ(学生時代に力を入れてきたこと)などに書く内容が明確に一つ減ったりはするのだが……
といった感じで考えを巡らせていると目的地である居酒屋が見えてきた。
「まだ集合時間まで三十分くらいあるぜ」
「三十分か……」
絶妙な時間だな。
店の前で待っているには長すぎるし、かといって一度帰宅すると時間が足りない。
さっきは適当にブラブラしてればいいだろといったが、この辺りを適当にブラブラするといっても三十分は持たない上にガソリン代ももったいなし……
となれば、取るべき行動は一つである。
「そこのコンビニに車止めて今期アニメの感想語り合おうぜ」
「賛成」
言い忘れていたが、僕の友人である筒谷幸助という男。僕と同じ二次元オタクである。
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