第2話 『たたり』


 ある日の晩。


 またまた、上司や部下に叱られ、疲れきって、公園のベンチに倒れ込んでいたやましんであった。


 すると、何処からともなく、現れた、とうに、滅んだはずの日本おおかみの一団に、取り囲まれていたのだ。


 彼らの回りには、無数の狼たまが飛び交っている。


 なるほど、このあたりは、太古の昔から比較的近年に至るまで、『むかしの』と呼ばれる、深い森であった。


 もちろん、おおかみも、いたであろう。


 『む、祟られたか。』


 やましんは、観念した。


 上司や部下は、間接的にはともかくとして、直接に、喰って殺すことは、あまりやらないが、この連中は、殺気に満ち溢れている。


 『ぐおあ〰️〰️〰️〰️❗』


 大将らしき、いちおおかみが、低く唸りごえを発した。


 彼らが、やましんに、飛び掛かろうとした、その刹那である。



 『まて、おおかみの諸君❗』



 また、あの不気味なやつが、現れた。


 完全懲悪おじさんである。



 おじさんは、いつものように、思わず吹き出してしまいそうな、危ない衣装に身を包み、その腕を身体の前で交差させた。


 それから、ぐるぐるっと回して、やがて平行にたっするやいなや、叫んだ。



  『完全懲悪〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️。』



 やましんは、いやあな予感に包まれた。



  『か、ん、せ、い❗』



 すると、やましんの身体は、一瞬にして、たくさんの輪切りとなり、そこらじゅうを、転がり回ったのだ。


 さすがの、執念深い、おおかみの亡霊たちも、これには、度肝を抜かれたらしい。


 狼だまともども、霧のように、渦巻き、あわてふためきながら、夜の闇に消えてしまった。



       🔥  🔥



 その後の、やましんの行方は、定かではないが、やはり、翌日も出勤していたらしい。


 身体中から、出血していたとも、言われるが、はっきりはしない。


 その後、おおかみの亡霊は、目撃されては、いない。



      ・・・・・・・・・・



          🥩 🍽️       


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『完全懲悪おじさん』 やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る