第十三部「水の中の女神」第5話(第十三部最終話) (修正版)
しかし
その存在を持ってして世界の中心になろうとしていた。
何とかして
しかし神社が災害でその姿を消した時に、共に命を落としていた。
唯一の生き残りである
そして
やがて二〇〇一年、内閣府の発足と共に〝総合統括事務次官〟が密かに作られていた。それは国の中枢にまで入り込んでいた
そして同時に文献の残されていなかった女神伝説を調べ始める。
しかし
そして
「またネタ探しですか?」
久しぶりに
「まあ……そんなとこです」
「我々も別に常に大きな事件に巡り合っているわけではありませんよ。神社でもほとんどは
するとそれに返したのは
「珍しいね。お母さんがそんなマイナス思考的な発言するなんて」
「マイナス思考だなんて…………現実を言ったまでです」
そして
「相変わらずコーヒーだけは美味しい所ですね」
「ほらマイナス思考だ」
「違います」
そして、そんな二人の会話に
「最近はオカルトブームも下火なんですよねえ…………私もネット専用の記事ばっかりだし…………久しぶりに誌面にも載せて欲しいんですけどね」
返すのは
「
それに
「心霊相談にイメージなんかないでしょ」
「あります。神社と同じ」
「……イメージといえば…………世間から忘れ去られたような寂しい神社が一つありますね」
その
「
そして
話を聞いていた
「文献も残っていないので…………ことの真相を知るのは難しいと思います。もし問題がないようでしたら、
やがて
事務所には
「
「さっきの
「もちろんです。
「でもさあ…………あの二人がこっちに協力するとは思えないけど…………」
「そうは言っても……〝血〟には逆らえませんよ…………」
そのおよそ一ヶ月後、
その理由は
「
すでに
しかし
☆
その前に
広い本殿には
強い夕陽が差し込む。
本殿の全員の影が濃い。
祭壇の前に座る
さらにその後ろ、距離を開けて
本殿の高い天井に
「娘の
頭を下げたまま、すぐに
「…………自ら命を断ちました」
「葬儀は…………」
「…………これからです」
「都合が良かったではないか
「はい…………」
水晶が二つ揃い、
三姉妹の中で一番勘の鋭い娘だった。一番の能力者。間違いなく言えることは、
その
理由は
自分の力を利用されるのを恐れたのか、誰かに操られていたのか、何かを抑え込んだのか…………その
最近、
表向きは父の
それはやはり
恐れていたとしたら、唯一人。
その
「
しかし、そこに挟まったのは母の
「待ちなさい
すると父の
「元々我らは
それに
「父上ともあろう
すると
「……しかしまだ…………目覚めてはいない…………」
「目覚めさせたらいいではありませんか…………そのために側に置いておいたのです」
その
その声は床に響く。
「……その件は……こちらで…………」
そしてその直後、小さな異変に最初に気が付いたのは
頭を下げ続けている
綺麗に敷かれた砂利が夕陽で真っ赤に染まる。
「────なにか…………」
すぐに
「──まさか────!」
しかし、続く
「…………姉様…………外に……………………」
そして立ち上がる。
すると
その
「────来てはなりません!」
その視線の先には、夕日に照らされた人影が二つ。
そして本殿の奥から
「……
そして立ち上がった
足袋が板間を
長い参道の先から、砂利を踏み締める音が近付く。
その姿は、
本殿の入口前で下に降りている
「…………御警戒を……」
そして、真っ赤な空気を揺らしたのは、
「────面白い話だったねえ…………私たちに会いたがってるのはあんたたち?」
その声が響き渡る。
その背後には
やがて、ゆっくりと
「……わざわざ御二人でお越し頂けるとは…………お待ちしておりましたよ…………」
「…………ウソばっかり……」
その手を外に広げると、そこには真っ赤に光る短刀。
そして、
短刀の
白い
そのすぐ後ろ、本殿の中で、身動き一つしないのは
残る三人が立ち上がって驚愕の表情を浮かべた直後、
誰も動けない。
まるで時が止まっていた。
体の力が抜けていく
「…………誰かを恨んでも…………何かを見誤るだけ…………気を付けて…………」
そして、
「────え……?」
思わず
目の前で何が起こったのか、誰も理解が出来ない。
次の瞬間、その
その砂利の小さな音が、やけに大きく聞こえ、やがて風を感じる。
刃物などどこにも無い。
そこに背後からの
「…………見せられた…………だけ…………」
そこに被さるのは
「…………恐ろしい
そして、その背中に
「
「────わかっておるわ‼︎」
振り返って叫ぶ
その中、
「……………………
☆
山の中。
「ここも…………あの人たちに見付かる?」
そう静かに聞く
「大丈夫。ここは守られてる…………理由は私も分からないけどね…………」
「……そう…………なら良かった……」
「派手に立ち回ったなあ…………あの人たちは黙ってないだろうね…………」
「……うん…………でも……
「……これで、いいんだよね」
「……はい…………ありがとうございました…………」
何がこの結果を生んだのか、もはや誰にも分からない。しかし
誰もが、あまりにも多くのものに翻弄され過ぎた。少し考える時間が欲しかったのは全員が一緒だろう。
「……
すると、やはりまだ気の抜けたような
「
「そう……
「そうなんですか?」
「色々と危険だしね…………それに、
「そうですね。やりますよ」
「…………
「日付指定で? あの子も手の込んだことするわね」
そして、口角を上げた。
そこに、縁側から振り返った
「
それに
「もちろんです……私にやれることは少ないですから…………なんでも…………」
「仕事のキャリア、失うことになるかも」
「…………いいですよ…………
何を捨てるか。そしてそれをどうやって捨てるか、この時の
それでも、多くのことを捨てる覚悟に迷いはない。
その力強い目に、
「迷惑かけてごめん…………私もこのままじゃ終われないんだ…………これが私の0.1%…………」
まるで小さくなるその声を拾うかのように、三匹の猫が
猫に手を伸ばした
その肩が、小さく震える。
☆
珍しく
何か新しいネタかとも思ったが、
しかも呼び出されたのは夜の二一時。
生活リズムがバラバラの
そんな二人だったが、夜に
しかもその予感は的中する。
「どうだった?
「協力的でしたよ。湖も綺麗でしたし…………春だからかもしれませんけど空気も綺麗だし…………あんな伝説が似合わないくらいですね」
「話してくれたのは……
その
まだこの時の
「はい、
「神社をね…………」
何かを誤魔化している態度だということは
──……言いにくいことでもあるのかな?
神社と一口に言っても、それぞれの関係性は複雑だ。神社同士で敵対するということはないのだろうが、考え方の違いはある。
「ねえ
その目は真剣そのもの。
その
「私たちに協力してほしいの…………」
「何言ってるんですか。私で良かったらいつでも────」
「今回は違う…………」
「もちろん
やがて、無意識に声が漏れる。
「…………何が…………あるんですか…………?」
すると、
「……何かを……捨てる覚悟はある…………?」
「…………なにか……って…………」
「強要は出来ない。
「分かりませんよ…………どういうことですか?」
「私は…………この国に牙をむく……………………そうしなければ…………
まるで理解が追いつかなかった。
何か、今までとは次元の違いを感じた。
──…………私は今…………聞いてはいけない話を聞いてる……………
そして
「どうして
「……
そして、
──……今まで…………色々助けてもらったな…………
「……じゃあ…………私は関わるべきじゃないですね…………」
「うん…………ごめん…………この話は聞かなかったことに────」
「でも…………」
そう言って
「……私は
──……後戻りは出来ない…………
──…………これはホントに間違ってないの…………?
そして、無言で
〝 『
「かなざくらの古屋敷」
〜 第十三部「水の中の女神」終 〜
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