第5話 荒れまくりな家だが、住んでる方は満足
家はドンドン荒れていくが、住んでる方はたまにババーッと綺麗にしては一週間持たない、といった風だった。何よりのさいわいは、食べかすや生ゴミはマメに、本当にマメマメに処分する家だったので、虫やら何やらは発生しなかった。まあ、ダニはいるだろうけれど、見えないし。
何が多いって、本と服とCDとDVDと箱だ。
これに業を煮やした母が、本棚をふたつ買ってみた。通販で、組立式の。そんなものを作るマメさがあれば、こんなに蟻塚は出来上がらない。確か十年ほど前の話だが、その本棚は今だ梱包を解かれることもなく、バベルの塔みたいににょきにょきと2本建っている。
CDはパソコンに読み込んで本体は処分、とかネットで買ってCDは買わない、というのが賢い若者の姿だろうが、残念ながら、私は賢くも、若者でもない。現物がないと、不安なのだ。それに、歌詞カードを見たり、ライナーノーツを見たりするのが超!楽しいのだ。所詮は昭和の女である。
DVDはあるだけでかさばる。しかも、私の視聴機はコンパクトタイプで、早送りも巻き戻しも出来ないただ、延々と再生するだけの機能しかないシンプルなものだ。でも一応視聴機があるので、血迷ってドラマの、アニメの、アーティストの、DVDをばかばか買ってしまう。で、買ったことに満足して見ない。いつでも見られるからと安心して暇なときがあっても見ない。この手にある、からいいのだ。
そして、母の弱点は箱、である。箱を見ると大箱小箱と取って置かないと気が済まない。何をいれるでもない箱と、何かをいれる箱と、何かをどこかに送るときのための箱、と、どうやら三種類ほどあるらしい。
他にも、古い領収書や、給与明細、病院の健康診断票、等はなぜか後生大事に取ってあるが、大事なはずの写真やら手紙やらはバリバリ破いて捨てている。母の基準が分からない。でもまあ、別れた旦那と肩組んでる若い頃の自分の写真なんぞ、破り捨てたい気持ちは分からなくもないが。
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